第72話
有難う。と一言だけ言いハリーはレンに時計を返すと、ハリーは大きく溜息を吐いた。
レンは口をつけていないところを割ったチョコを、ハリーの口にちょんと触れさせれば、ハリーは小さく笑ってそれを食べてくれる。
「チョコレートは気持ちを落ち着かせてくれる。だっけ?」
「えぇ。あの汽車の中で、リーマスが言っていたなーって思って。」
「ハリー。確か練習の仕方はスネイプには教わっているのよね?」
「うん。毎晩寝る前に心を無にする様に心掛けろって。後は特訓の時はスネイプは開心術を僕に使うだけで、防ぎ方は何も教えてくれない。」
「スネイプは体で覚えろ、みたいな教え方だものね…私も脱狼薬の個人授業を一昨年受けてた時はそうだったわ。その日が来ると、どれだけ叱られるんだろう、減点されるんだろうって気が重かったわ。」
レンもそうだったんだと、ハリーは驚いた様にして見せたが、同じ気持ちを分かち合える人がいてホッとしたのだろう、表情が和らいだ。
「それで練習はしてたんだけど…スネイプへの気持ちとかいろいろな気持ちがぐるぐるして上手くできなかった。」
「スネイプ相手じゃ、そうなるわよね…それじゃ毎晩寝る前に私と心を鎮める練習をしてみる?寝室のベッドの上で、って訳にはいかないからそれがどう役立つのかは判らないけれど、何もしないよりはマシじゃないかしら。」
レンのその言葉にハリーは少し気が晴れたのか、小さく頷き「有難う」と笑んでくれた。
「ねぇ、レン。レンだったら僕の母さんやレンのお母さんの気持ち理解できる?」
「どうしてスネイプを目の敵にしてた人を選んだか、よね?」
「うん。例えば…そうだな…僕とマルフォイみたいな。お互いに忌み嫌って顔を見合えば呪いを掛け合ってるんだ。けど僕がレンの事が好きで…それでデートに誘ってるけど、レンは今まで僕のそんな態度が嫌でそれを断ってたんだ。」
レンはハリーと談話室へと戻りながらうーん。と唸る様な声をだし考えてみた。
「そうね…彼らは7年生の頃には落ち着いていて…少なくともリリーさんには前よりは落ち着いたって見えていたのよね…。それから一緒に過ごす時間が多くなったのなら、リリーさんの気持ち判るかもしれないわ。…だってハリーがどんなにドラコを嫌って例え呪い合ったりしていたとしても、私はハリーの良いところたくさん知っている。確かに少しは仲良くしてほしいって思う部分もあるだろうけれど、それでもよ。だって人間長所ばかりじゃないもの。短所も含めてその人を大事に想える…それが好きなんじゃないかしら?私にはそこからどうLOVEに変化するのかがまだいまいち判っていないけれど、リリーさんはそんなジェームスさんの良い所を見つけて惹かれたんじゃないかな…なんて。…うーん、いまいち説得力ないわね。」
レンが悪戯っぽく言えば、ハリーはどこか恥ずかしそうに有難うと言って頬を赤らめた。