「でも、ハリー。私がハリーのご両親が亡くなったその事件を覚えているって言ったわよね?」
「うん。」
「…ジェームズさんは本当にリリーさんを大切に想っていたわ。自分が盾になって、必死にリリーさんとハリーを守っていた。自分が死んだって2人を守るって…そんな強い眼差しをしている。そんな事ができる人だもの。素敵だと思うわ。…それに比べて私の幼馴染殿を見た?一年の時の罰則の時、さっさと私やハリーを置いて1人走って逃げたのよ?覚えている?あの全速力!」
レンが真面目にそう言ったせいで、ハリーは思い出したのか思わず吹き出して声を出して笑ってしまう。
ドラコをダシに使ったのは申し訳なかったが、ハリーが元気が出た様に笑ってくれてレンは嬉しかった。
「それでも元気が出なかったり、お父様の事を嫌に思うのなら、ハリーの素敵な所ひとつひとつ言いながら談話室に帰りましょうか?」
「止めて。僕爆発しちゃう。」
「校長先生が鎮火作業にまた校内を走り回ってしまうわね。面白そうだからやってみる?」
談話室へ戻るその道のりを2人は自然と笑い合い手を繋いで帰っていった。

イースター休暇が少し終わる前に魔法界の職業を紹介する小冊子やチラシ、ビラなどがグリフィンドール塔のテーブルに積み上げられ、夏学期の最初の週に5年生は全員、寮監と短時間面接をし、将来の職業について相談する事という進路指導の張り紙までされ、差し迫った試験の重要性を強調する様だった。
リストを辿るとレンはハリーの前に面談を行う事になっていた。
男女混合で、きっとこの授業にこの子が抜けてもこの子には問題ない。とみなされた時間に当てられているのかもしれないと、レンは少しだけ思った。
レンは休暇の最後の日、そのパンフレットを渋々見つめた。
「癒術はやりたくないなぁ。こんな事が書いてあるよ。魔法薬学、薬草学、変身術、呪文学、闇の魔術に対する防衛術のNEWT試験で少なくともEの期待以上を取る必要がある。これっておっどろき…期待度が低くていらっしゃるよな?」
ロンは杖と骨が交差した紋章がついた表紙のパンフレットを見ながら言った。
「レンなら出来るわね。」
「吐血と戦う毎日になって私が患者になりかねないわ。」
「血の力を使い続けなければいいでしょう?」
「癖で使ってしまいそうで。」
ハーマイオニーはマグルと連携した仕事が載った鮮やかなピンクとオレンジの小冊子を見ながらレンの発言に思わず笑ってしまう。
「マグルと連携して行くにはあまりいろいろな資格は必要ないみたいよ。要求されているのはマグル学のOWLだけよ。より大切なのはあなたの熱意、忍耐、そして遊び心です。ですって。」
「僕の叔父さんと関わるには、遊び心だけでは足りないよ。」
ハリーが暗い声を出して言い、レンは「言えてるわ。」と思わず言ってしまう。