第73話
レンはその後、午後も無事に授業を終えると「言ってくるわね。」と一言言い足早に中庭へとやって来た。
どうやらあの双子はまだの様だった。
だがそれは直ぐに事が始まったのだろうという事が直ぐに判る。…そう、何処かから悲鳴と叫び声が聞こえたのだ。
レンは何処かとキョロキョロと辺りを見渡すと、レンの周りにも人が集まり、気がつけばハリーやロン、ハーマイオニーも3人見える所にいた。
少しすれば走ってくる人影に薙ぎ倒されぬ様、皆が道を開けその者達を通し、レンの所までパッと道が出来ると、やっと自由だと言わんばかりに晴れ晴れと輝いた顔でレンの元へ駆け寄ってくる双子の姿が視界に入る。
そしてその1人、ジョージはレンに駆け寄りながらも飛びつく様に抱き付き着いたかと思えば直ぐに少し身を離すと、にっと笑う。
レンが顔を上げてはこんなに人が大勢集まる所で、どうしたのかと聞こうとするもその言葉は口から紡がれる事はない。
ジョージの片手は腰に、そしてもう片手は後頭部に添えられ、唇に柔らかな感触と愛し者を見つめる様なそんな視線を真っ直ぐに向けているジョージの顔…いや、その瞳しか見えなかった。
レンはそれに瞳を大きく見開き驚いた姿を見せるも直ぐに耳までも真っ赤になり、抵抗しようにも自分の力ではジョージはビクともせず、彼の温もりや広がる香りに感覚が麻痺してしまいそうだった。
ゆっくりと唇が離されれば、レンの顔をずっと見つめてたジョージが視線を合わせて紅い顔のまま悪戯っぽく笑んで見せる。
「俺はレンが好きだ。1人の女性として、大切に想ってる。けれどレンの決意した事や身の置かれている状態、全て理解しているつもりだ。だから、今は返事を聞かない。今のキスでやっと俺の気持ちに気付いて男として意識してくれたみたいだし?今はそれで十分さ。今まで待ったんだ、レンが卒業する2年後…それよりも全てが終わるのが早ければその時を待ちながら、今よりもっと大きくなってレンを迎えに行ってまた想いを伝える。その時…」
ジョージはレンの後方、ある一点を見つめ挑戦的にニヤリを笑んで見せる。
「お前が誰を好きだろうと、誰が惚れてようと、俺の方がレンを幸せに出来るって思ったら、今度は遠慮なく攫って行くし俺を選ばせてみせる。だから覚悟して待ってろよ?」
レンは困りや不快という感情は全くなく、こんな大勢の前で告白とキスという状況に、ただただ真っ赤な顔で思考停止しているのが誰が見てもわかる様な表情をしていた。
ただ、待ってろというジョージに、小さくこくんっと頷くのが精一杯のレンを愛おしそうに撫で、その顔を誰にも見せたくないと言いたげにその胸に埋めさせては「クソ可愛くてこのまま連れ去りてぇ。」と心の声丸出しに呟く独り言が聞こえ、それが自分の熱をあげるのが判る。