あの者という存在が、今のケンタウルス達を苛々させているのだろうか…。
レンは取り敢えず、と辺りを適当に散策しながら森を歩き始め、少しした時だった。
急に何かに覆い被された様な感覚と共に、浮遊感と主に上半身が強い痛みに襲われ、思わず息を呑みもがき顔を出せば、そこには自分の何倍もの大きな顔がきょとんとレンを見つめていた。
「グロウブ、ハガー、ほしい!」
「ハガー?」
「ハガー!」
一体何の事だか全く分からなかった。
「取り敢えず手の力を抜いてくれる?」
グロウブと名乗った(のか?)相手は首を傾げる。
レンは、彼の手をポンポンと叩き「い・た・い」と一言一言はっきり言うと、伝わったのか判らないが、手の力を少し緩めてくれ、レンはなんとか手のひらを上に向けて開かせる事に成功し座ると「ふぅ」と小さく息を吐いた。
「グロウブ?」
レンは彼に手を向けそう聞くと大きく頷き、レンはそれに頷き返すと自分を指し「レン」と言う。
それを何度か繰り返すとグロウブはレンが自分を指差すと「レン!」と言ってくれる。
どうやらレンの名前を覚えてくれた様だった。
「ハガーは、いつも、何処に、あるの?」
レンがそう尋ねるもうまく言葉が伝わっていない様でグロウブは首を傾げるだけだった。
うーん。とレンが困り果てると、グロウブは手の上にいるレンを肩の上に乗せてくれ、何処かへと歩いていく。
レンはこんな高さで移動したのは初めてだった。
5メートルはあろう位置で、ドスン、ドスン、と足音を立てて進む度に、身が揺れ、落ちそうになるのが怖くてグロウブの耳に掴まるしかなかった。
暫く歩くと何者かの寝床の様な窪みが姿を現した。
大きさ的にグロウブの寝床なのだろう。
彼はそこにドスンっと音を立てて座り胡座をかくとその衝撃にレンの身も跳ねた。
「ハガーはいつも此処にあるの?」
耳に掴まりながらそう聞くと、理解してるかどうかは判らないが「ハガー」と返事をする。