そう思った瞬間バーンッ!と大音量を響かせあたりに赤い光が飛び交ったのだ。
レンは両手を合わせ瞳を閉じれば、クレスメントの血よ我に従え…と強く願い、ハグリッドを守る様に結界を張る。
5人が一斉にハグリッド目掛けて赤い閃光を発射し、それがハグリッドに当たった瞬間、その体は淡く光り赤い閃光を撥ね退けた。
遠隔である程度力のある魔法使い達5人から一斉の何度にも渡る攻撃は流石にレンの体にも影響が出ていた。
未だ騎士団のメンバーに何かがあれば直ぐに判る様、術を施しているままなのもあり、レンの喉の奥からは血の香りがし始める。
ハグリッドは吼え両手の拳を振り回している。
…ハグリッド落ち着くの。攻撃してはダメ、暴力に出たらますます貴方の立場が悪くなってしまう…!
「大人しくするんだ、ハグリッド!」
男が叫んだ。
「大人しくが糞喰らえだ!ドーリッシュ、こんな事で俺は捕まらんぞ!」
ハグリッドはそう吼えていたが、ファングはハグリッドが守られているのも知らずハグリッドを守ろうと周りの魔法使いに何度も飛びかかるが、ついにその失神呪文がファングに当たり、ハグリッドは怒りに震え吼えた。
「ダメ…ダメよ、ハグリッド…怒りを抑えなきゃ…それでは何も解決しない…!」
レンは試験中なのも忘れ、そう呟きファングを倒した犯人を持ち上げるハグリッドを必死に血の力で押さえつけようとしたが、さすが半でも巨人だ。レンは結界をその男に切り替えた瞬間、数メートルも飛ばされ地面に叩きつけられる前にクッション材の様に結界を広げるが、男はショックで起き上がりはしなかった。
レンはその衝撃にコホコホッと咳をすれば、数滴手から血が伝って垂れたが、そんな事を気にしている場合ではなかった。
「ダメ!マクゴナガル先生…!」
レンは身を乗り出し出来る限り大きな声でそう叫んでしまう。
丁度その騒ぎに城内を戦いの場へと疾走する人影があったのだ。
「何という事を…!…何という事を!」
走りながらそう叫ぶマクゴナガルに、レンは慌てて全て書き終えた回答用紙をトフティ教授に押し付ける様にして渡し「勝手を申して申し訳ありませんが、全て終わりましたので、お先に失礼させてくださいませ。」そう深々と頭を下げてから、カバンの中から母の形見のマントを取り出すとその塔から飛び降りた。
生徒達から悲鳴が一瞬上がったが、すぐにその双眼鏡で探ったのだろう。
飛び降りながら何か動物に変身するレンを見遣り、それが暗闇の中を何か布を羽織って疾走する姿を見つければほっと息を吐いていた。