「セストラルを使いましょう。」
「そうだね、私もそれが良いと思う。」
ルーナもはっきりとそう言うとゆっくりと森の中を指差した。
「血の匂いに呼ばれて来たのね。」
セストラルがレンのローブの背を舐め、レンは擽ったいと小さく笑う。
ハリーは一番近くのセストラルの鬣にしっかりと手を巻きつけ手近の切り株に足を乗せて、スベスベした背中を不器用によじ登った。
「レン。」
ハリーはレンに手を差し伸べ、レンは小さく首を傾げながらその手を取ると、ハリーはレンを引き上げ自分の前に横座りさせた。
「私じゃなくて見えないロンを乗せてあげれば良いのに。」
「レンはこういうの苦手かと思って。」
「確かに…飛び方によっては、うん、得意ではない…けど。」
レンは小さな声でそう言うと、ハリーは小さく笑う。
ハリーは翼の付け根の所に膝を入れ体を安定させると、自分の膝にレンを乗せる様にしている。
ルーナが「簡単に乗れるよ?」とポカーンとしていたロンとジニー、ハーマイオニーを馬の位置に連れて行く。
触りながらどこに羽があるか、体があるか…手探りで確認しそれに跨りしがみついた。
「こいつら言葉が判るのかな…」
「大丈夫よ。」
レンは乗っている馬の後頭部を優しく撫でてやる。
「ダンブルドアが移動に使ってるってハグリッドが言ってたもの。」
「それじゃ…ロンドン、魔法省、来訪者入り口。」
ハリーはそう半信半疑で言えば、セストラルは何も反応しないと思った瞬間、バッと素早い動きで翼を広げ、ゆっくりと屈み込んだと思えばロケット弾の様に急上昇した。
レンはセストラルが翼を広げた瞬間に乗った事を後悔した。
「これは苦手な、パターンな気がする」と小さく呟いた直後、レンの悲鳴と共にセストラルが急上昇していたのだ。