第82話
一行はどれだけ長い間飛んでいたか判らない。
夕日が見えていた空はその光を失い暗闇に染まっていた。
体はその空気に冷え切り、傷口がズキズキと痛んでいる…だが不思議と腕の印は熱を放っていた。
その事が余計にレンの心を不安が満たし、どんな事があっても皆だけは護らなきゃ…。
そう思った時だ、焦りの色が騎士団の魔力に見え始めた。
「本部に人が集まり始めてるわ。焦った魔力の色を感じる…でもおかしいわ…普段ならこれが誰の物か解るのに…判別が出来ない…。」
「きっと伝言を受け取って本部に来た人がシリウスがいないのに焦ってるんだと思う。」
「かもしれないわね…」
そしてセストラルは人気のない電話ボックスの前で降りた。
衝撃に備えてレンはハリーに掴まる手に力がこもったが、それはすっと流れる様に着地したのだ。
レンは滑る様に地に足を下ろすと、ハリーも馬から降り、レンはハリーにお礼を言ってから馬を撫でてやる。
「有難う。助かったわ。…ハリー、此処が外来の受付なの?」
「あぁ、そうなんだ。」
「それじゃ私はエレベータの前で待ってるわね。」
「判った。」
「待って。一緒に行くんだもの、これは貴女が持っていて。貴女の大事な物を預かってるって思ったら落ち着かなくて。」
ハーマイオニーは懐中時計をレンに手渡し、レンはそれを受け取り、次の瞬間にパチンっと音を立ててレンはその場から姿を消した。
レンは魔法省への出入りはファッジに自由に許されている為、何度か通った事のあるロビーの前に姿現しをすると其処には何も気配がなかった。
「おかしいわ…この時間ってこんなに人がいないものなの…?」
レンはエレベーターの前でハリー達を待とうと其方へ向かうが、ハリー達に合流する事は叶わなかった。
レンは杖を振るい「罠だ、引き返せ」とハリー達にメモを地面すれすれに走らせれば、黒いローブを羽織った死喰い人達はレンを囲み、その口元をニヤリと歪ませる。