…私、どうしたら良いの…?
伸ばした手に嵌められたピンキーリングを見つめ心の中で小さく呟く。
すると指輪に『NO』と文字が浮噛んだような気がしたのと同時に懐中時計が熱く熱を放つ。
レンはそれに小さく頷けばその手を引いた。
そして真っ直ぐにルシウスを見つめるとにっこりと微笑んでからベーッと舌を出すと、シャルが亡くなったあの時の様に自分の魔力を放出し、辺りの死喰い人を吹き飛ばしてロビーの方へと走り、神秘部の扉の外に出るとそれを背凭れにして大きく息を吐いた。
「ちょっと待って…え?…ハリー、貴方達引き返さなかったの…?」
中から戦う音が聞こえ、レンは血の気が引いて行くのが判った。
本当に私の"引き返せ"という言葉は聞いてもらえない。
何度か大きな音が聞こえた後、レンは急激に血の気を感じ咳き込みながら血を吐き出してしまう。
誰かが攻撃を喰らい死にそうになったのを結界が護ったのだというのが判った。
「こうしちゃいられない…」
レンが再度ロビーに戻るとその壁は回転し始めピタッと止まり、其処から傷だらけのネビルとネビルに担がれた気を失ったハーマイオニー、そしてハリーの姿が現れた。
「どうして引き返さなかったの…!」
ネビルはレンの姿を見れば膝をつき「ぶじでえがっだ!」と血を流しながら涙を零し、レンはネビルの鼻に手を翳してそれを癒してやれば流れ出る血が止まった。
「罠でもキミを助けなきゃって…扉の前で皆には引き返すように言ったんだけど…一緒に行くって。間違いだった…僕が皆を死なせてしまう…」
「落ち着いてハリー。ハーマイオニーは大丈夫。私が事前に術を施したでしょう?これくらいならマダム・ポンフリーが癒してくれるわ。」
ハーマイオニーにも手を翳し体を癒しながらそう言えば、ムーディの時にしたように地に結界を張り、其処にハーマイオニーを寝かせた。