それに焦りの色を見せたのはルシウスの方だった。
「そう、私の父はシリウスとリーマス。血は繋がっていないけれどレンという空っぽな人間でもずっと愛して大切にしてくれている大切な家族。私にはこの人達の信頼を裏切る術を持てない。例え私の命が尽きようとも私がどんなに穢れていようとも、彼らから教わった志を穢す事は出来ない。」
ごめんなさい。そう謝れば、リーマスがルシウスを動けぬ様にとロープで縛りあげダンブルドアが纏めた所へと連れて行った。
「…もう私は貴方達に惑わされない、奪わせない。…もう貴方にも遠慮はしない。私が人を大切に想う気持ちが皆を死なせると言うのなら、独りでも戦ってみせる。」
レンは人形のように無表情でそうルシウスに告げ、辺りを見渡せば、他の死喰い人が縛り上げられている。
レンは凛とした姿勢と崩さぬまま、シリウスが消えたベールの所まで歩いていく。
騎士団の皆は死喰い人に杖を向けている様子だったが、レンの様子を見ながらも誰ひとり止めようとはしなかった。
レンはベールの方に手を差し出し、口元だけで小さく微笑んで見せる。
「シリウス…聞こえる…?貴方は多くの間自由を奪われ続けていたけれど…向こうではもう何も縛り続けるものはないわ。思う存分に自由でいて…そして…見守っていてね。…私に残された時間はきっと少ないけれど、貴方の想いを私が受け継ぎ、私が其方へ行くまでにきっと果たして見せるから。」
約束。
レンはそう言うと差し出した手を小指を立てるように握り、そして少しすれば手を下し、その場所をじっと見つめる。
「私が其方へ逝く時は…覚悟して迎えに来てね?今度は私が貴方に沢山お説教する番だわ。永い時をかけて。…本当に…沢山の約束を破ったもの…。」
無表情のレンの頬を一筋の涙が伝う。
リーマスが今にも消えてしまいそうなレンの背をぎゅっと力強く抱きしめてくれる。
レンはいつもの様に、それに応え微笑む事はなかった。
ただその場で瞳を閉じて温もりを感じ、暫くすれば、もう大丈夫。と、リーマスに告げる。