「レンが水晶玉で見た風景とやらが起こった時、そんな万が一の時の為に、これはハリーとレンの為に残しておく。これを観ているという事はそういう事なのだろう。私の体は無くなったとしても、私はずっとお前達の側に在る。ずっと見守っている。いつまでもくよくよと悔やみ悩み苦しみ続けるのはよしてくれ。それよりもお前達を生かす事が出来た私は誇って死んだのだ。自慢に思って欲しい。私の意志を継ぎ、ハリー、キミはレンを、レン、キミはハリーを護って欲しい。そして、いつか2人で協力してヴォルデモートを打ち破り、ジェームズとリリーの仇をとって欲しい。私の愛息子と愛娘の幸せを願っている。愛しい子供達と過ごせた僅かな時間は私にとって幸せなものだった。私の為を思うのなら泣き顔より笑っていておくれ。」
シリウスが生きていて、助けを求める通信だとレンとハリーは思っていた。
だが、それは予想に反した内容で、レンは思わず自分の口を手で塞ぎ上げそうになる声を必死に堪えて大粒の涙を零した。
ハリーはそんなレンを自分の胸に埋めさせ、ハリーはレンの肩に顔を埋め声を殺して泣いていた。
それからはレンは多くの時間を玄関ホールのあの石段で過ごしていた。
去年、リーマスが自分を迎えに来たように、もしかしたらシリウスが迎えにきてくれるんじゃないか…そんな淡い期待もあったのかもしれない。
何やら背後でドラコとハリーが騒いでいる様な気がしたが、それすらどうでも良かった。
スネイプが嘲笑う声が聞こえればずっと座っていたレンが立ち上がった所為で、皆の視線がレンの方へと向いた。
「先生…!お帰りなさい!」
タータンチェックのボストンバックを片手に、もう片手は杖に縋ってはいたが、それ以外は至極元気そうなマクゴナガルが姿を現したのだ。
レンがマクゴナガルに抱きつく様にし、小さくその身を震わせれば、マクゴナガルはその髪を優しく撫でてくれた。
「マクゴナガル先生。これはこれは、聖マンゴをご退院で!」
スネイプが勢いよく進み出た。
「えぇ、スネイプ先生。」
マクゴナガルは旅行様マントを脱ぐのをレンは離れて手伝う。
「すっかり元通りです。…そこの2人。クラッブ、ゴイル。」
マクゴナガルが威厳たっぷりに手招きすると2人はデカ足をせかせかと動かしぎごちなく進み出た。