「どうか私の事は気になさらないでください。先生を責める気持ちはどこにもありません。自分がもっと動けてれば、とか自分を責める気持ちは確かにありますけど、それ以上にまだ失ったって、信じられてないんです。まだ何処かに居る様な、近くに居てくれている様なそんな感覚がして。去年のリーマスの様に玄関で待ってたら、心配かけて悪かったって、あの吠える様な笑い声をあげて迎えに来てくれる様な気がして。…でもあの苦痛の顔と、目が合った瞬間にフッと笑ってくれたあの顔が頭の中から離れない。…夢の中でも現実でも、前を向きなさいって言われてるんですけど…なかなか。ダメですね。」
そんなレンの言葉をどこか切なそうに聞けば、そっと頭を撫で、食べられそうならちゃんと食事をしなさいとだけ言えばダンブルドアは姿を消した。
レンはダンブルドアの後ろ姿を見送ると、また寝室に戻った。
久し振りに指輪を見てみれば『気が向いたら声をかけてやってくれ。』と文字が刻まれていた。
ロンに残した言葉から察するに、何度も何度も声をかけてくれていたのだろう。
『沈黙の姫君って、なんかカッコイイわね。』
『大丈夫か?』
『ロンは大丈夫。数日前に退院して、明日皆で帰るから、家で会えるわ。』
『俺が心配してるのはロニー坊やじゃなくてレンなんだけどな。』
『私は…色々受け止められてなくて、時が止まってるみたいな不思議な感覚がしているわ。』
『ある程度はお袋から聞いた。ホグワーツに戻る前に逢えるか?』
『えぇ。一度はお店に遊びに行くつもりだから。』
『そっか。それじゃ、大人しく待ってるよ。いつでも呼んでくれたら飛んでいく。』
『有難う。…貴方はどうしていつもそんなに返事が早いの?』
『愛しい姫君の為に直ぐ気付ける様にしてるのさ。』
『変わった人ね…でも有難う。』
レンはそう最後に祈るとゆっくりと瞼を閉じた。
きっと家に帰れば、シリウスが居るはずだ。心の何処かにそんな風に期待する自分と、帰った時シリウスが居なかったら…もう現実を受け止めるしかない…そう思う自分がいて、帰るのがとても怖かった。