落ち着き始めた頃、リーマスはちゃんと腕の手当てはしただろうね?と聞かれレンは思い出した様な声を漏らせば、リーマスは慌ててレンを椅子に座らせその場所の包帯を解くと、レンもリーマスも驚き止まっていた。
そう、あの夢の中と同じ、レンの腕の印の上から×印が付いており、レンが指でいつものように引っ掻いても其処には傷がつく事はなかった。
「…あれは…夢じゃなかったの…?」
レンが驚き止まっていると「詳しく話してくれないか?」とリーマスはレンに言い、レンはゆっくりとあの時あった事をリーマスに話して聞かせた。
「過去に飛んだとしたら、私も覚えている筈なんだろうが…覚えてないな…。シリウスはよくアクアに虫を落として悪戯していたし…。」
「でも、この印は確かにお母さんがつけてくれたの。紛らわしいから私がおまじないをしてあげたわって…。私の事ただの同い年の部外者って思ってたから、シリウスの事、父が死んだんだって相談したの…私を元気付けてくれた。後からシリウスも来て、もし自分が父親の立場だったとしたら、今頃誇ってると思うみたいに言ってくれたわ…」
「きっと今までのアクアを見るとその事は記憶から消されたか覚えていないのどちらかだとは思うが、レンが目の前にいた時のアクアはレンを自分の娘だと気付いていたんだろう。でなかったら初対面の部外者にその様な事をする女性じゃないからね。その場にいた私達も従姉妹という言葉を信じたのだろう。後から追って来たシリウスは、どこか疑っていたのかもしれないが。でも一体どうしてそんな事が…」
リーマスも不思議そうにしていた。
「そういえばレン、キミはシリウスと通信してた時、時の部屋にいるって言っていたね?」
「えぇ。直ぐに死喰い人が来たから、そこから去ったけど…その時起こった事って言えば魔法で砂時計が割れたこととその時計を落とした事くらいよ」
レンは懐から懐中時計を取り出し、ダンブルドアからもらった方をリーマスに手渡した。
リーマスはその時計を調べては見たが特には変化が見られなかった。
「よく調べて見ないとわからないが…もしかしたらこれが原因かとおもったんだが…。兎に角、もうそんな昔に遡るなんて危険な事をしてはいけないよ?今回は無事に帰ってこれたから良かったが、レンにどんな悪影響があるか判らないからね。」
「…うん。判ったわ。…まだシリウスに逢いたいけれど…大丈夫、ちゃんと判ってるから。」
暫く預かっても良いかい?とリーマスは言うとレンは頷きリーマスにその時計を託せば、レンはもう一度守護霊の呪文を唱えた。
するとそこには誇り高く立つ凛々しい犬の姿があり、その瞳はどこまでも優しくレンをジッと見つめていた。
私はずっとお前の側で見守っている。だから大丈夫。お前は独りじゃない。自分と仲間を信じなさい。
そうシリウスが言っているかのようだった。
その姿にレンは「今は難しいけれど少しずつ頑張るわ。」と呟き小さく微笑み返せば、犬はすぅっと姿を消したのだった。