懐かしい…。
一年半足らずの思い出しかないが、大切なそんな思い出にそう呟いては写真を指先で撫でると、写真立てに僅かに厚みがありいくらか後ろが浮いている。
留め具を外して取り除くと、そこには1通の手紙が挟まれていた。
『最愛のシリウスへ
これを見つけたという事は…きっとそういう事なのでしょう。
私は今、貴方の優しさによって与えられた時間にこれを書いています。
本当に私達は似ているわね。
独占欲が強くて嫉妬深くて…そして誰よりも相手を愛している。
それは肉体が朽ちても同じでしょう。
本当はもっと早く貴方をアズカバンから救ってあげたかった。
私が愚かだった所為で、心を病んだ所為で…そのクレスメントの信用力を私は失ってしまっていたの。
何度訴えても何をしてもミスター・クラウチも魔法省大臣も誰も私の言葉を聞いてくれなかった。
その時…煽られたの。
貴女はその命を賭けられる程に彼の無罪を信じているのか。
ってね。
私は貴方への愛と信頼を穢されたくないって自分のプライドの為にこの命を使ってしまう事、まず先に謝らなきゃいけないわ。
身が朽ちても側にいるって約束したのに…ごめんね。
これから私達の子は、あの時私が感じた様な体験をするんだろうな…。
常にどこかに憂いを帯びた子にさせてしまうんだろうな…。
そう思うと、愛とプライドを守る事なんてやめて、お姫様を救い出す王子様みたいに、アズカバンからアンタを掻っ攫って、無実を証明できるその時まで、この屋敷に閉じ込めてしまいたい。
そう思うけれど、自由に飛びまわる鳥から翼をもぐ事がどれだけ辛い事か、私は知っているから…それをアンタに体験はさせられない。
この広い世界でちっぽけなワームテールを探すしか手は無いかもしれない。
一緒に世界中を逃亡生活。それも素晴らしいわ。
あのバイクに乗ってどこまでも行くの。
そうしたらアンタはまた言うんだわ。背中に当たるべきものの感触が物足りないって。