「あの子には…愛されてる子だってアンタがたくさん教えてあげた?」
「あぁ。赤ん坊の頃の様によく笑う子になっていた。お前もレンを見習え。誰よりも心優しい女だぞ。」
「私も歪まなかったらそんな女になっていたかもしれないわね。だって、私達の子ですもの。」
「私達の良い所を受け継いで生まれたのだろうな。」
「えぇ。あの子は確実に私とシリウスの子だって信じているもの、きっとそうだわ。」
「私があの子と再会を果たした時は、あの子はもう当主だった。13歳でだぞ。」
「…その頃じゃ、アンタがやっと犬になって私がギャーギャーアンタに文句たれてた頃かしら?」
あぁそんな頃だったか…とシリウスは懐かしそうに目を細めてしまう。
「あのロクでもない兄がその頃に死んだのね。」
「死んだといえばお前はどこで死んだんだ?」
「ルシウスの前で死んだわ。…でもね、シリウス。私の体は探さなくて良いわ。」
それにシリウスは眉を顰める。
「あれはもう抜け殻だもの。」
「だが…私は毛の一本から血の一滴まで、奴らの元に残っているのが…!」
「大丈夫よ、シリウス。私の身は誰にも利用されないわ。きっと…レンを自分の元へ引き寄せる材料に使うつもりでしょう。けれど私は確信してる。レンはそれに釣られたりはしない。そしてルシウスはヴォルデモート亡き後、クレスメントという大きな存在の味方を温情を受けようと私の躯を献上する筈よ。恩着せがましく探したとか言ってね。でも…あの子はそんなにバカじゃないでしょう。少しの情をかけたとしても、彼奴の事は許さない。あの頃の様に堂々とした生活は送れないはず。…だから言ったのよ。私との約束を守ってシリウスを釈放させる為に動く事。それで今からあの子に恩をうっておかないと、貴方は絶対に後悔するってね。」
アクアは可笑しそうに声をあげて笑い、シリウスは「全く…お前という女は…。」と思わず苦笑が漏れた。