それからシリウスは遺言を遺した。
懐中時計にも自分が亡き時はそれが観れる様に言葉も遺した。
それにシリウスはしんみりとしていたのだが…「あらヒッポグリフじゃない!パッドフット、この子どうしたの!?ねぇねぇこの子ってどんな飛び方をするの?スピードは出るのかしら。羨ましいわ、乗ってみたい。アンタばかりずるいわよ!」とその気分をぶち壊してくれる。
思い耽り、心を後悔やマイナスの気持ちで埋め尽くしてしまう辛さが、アクアは誰よりもわかっている。
親が死んでから殆どの時を、多分こいつは人知れずそれと戦い続けていただろう…。
「残念だったな。私を置いていった報いと思って諦めろ。とても乗り心地の良い奴だよ、こいつは。というか、お前のスピード狂の所為でレンはそういったものが嫌いになっていたぞ?」
「あらどうして?」
「お前が小鬼を脅したからだろう。トロッコが死ぬほど嫌いになっていた。」
「あら、勿体無い子ね。落とされても魔法でどうにかなるでしょうに…」
信じられない!という様な言い方に、思わずシリウスは笑った。

次の日、その日は来た事が判る。
光る半透明の不死鳥が現れ、ハリーとレンが神秘部へと向かった事を知らせてきたのだ。
その時、懐中時計が熱くなっていることに気付けば、レンは必死に何処にいるの、応えて。と訴えかけていた。
あぁ…あの子は、あの小さな身で捕らえられた私を救おうと、魔法省に乗り込んだのか…。
そう思いながらも仲間達が到着するまでの間、必死に懐中時計に語りかければやっとそれは繋がる。
レンのホッとした顔…そして、激しい物音…それに彼女がどれだけ危険な状態かという事が判る。
「戦ってはいけない!」
そう言うも、1人ならどうにでもなるから絶対に来てはダメだと、私の気持ちは痛いほど判る。そう言い言葉を続けるレン。
「私から貴方を奪わないで。」
その言葉に懐中時計のすぐ隣で蓋を開けた金色のロケットの中の存在が瞳に涙をたくさん浮かべながらにっこりと微笑む。
自分自身もその言葉に心が暖かいもので埋め尽くされるのと同時にとても締め付けられてしまう。
だが直後レンの姿は見えなくなった。見えるのは…きっとあの子のポケットの中だろう。
ルシウス・マルフォイの声が…あのベラトリックスの嘲笑う声が聞こえる。