「大丈夫よ、シリウス。」
「あぁ。」
「ずっと側にいるわ。」
「頼む。」
「さぁ、最期の憂さ晴らしをしてあげようじゃないの。存分に暴れて来なさいよ、パッドフット。アンタのカッコイイ姿を久し振りに見たいわ。」
そう言うアクア。
本部に直ぐに人が現れるとそのロケットの蓋は勝手に閉じられたが、上機嫌の彼奴が梟の時に頭の上でホーホーと鼻歌を歌っていた懐かしいあの声が聞こえた。
「ん?…アクア…?」
流石はリーマスだ。
アクアのあの歌に直ぐに気付くあたり、リーマスの心の奥底に眠るアクアへの愛は本物だろう。
アクアが力に目覚め、母親の凶悪なその力を見ていた所為で怯え暴走をさせ続けていたアクアと些細な事で喧嘩をしたあの時、諭させるように説得してくれたリーマスに「女なら他に沢山いる。」と吐き捨てた事があった。
リーマスはその時「なら僕も考える。人生で初めての恩人の彼女を愛している。」と言ったのだ。
だが、「人として愛してはいるが、恋愛感情ではないよ。どっちかって言うと妹みたいなものかな。」と後に言っていたが、時折レンの中にアクアの面影を見つけては愛おしそうに見つめていた…。
「私には聞こえないが。」
誤魔化すように言うシリウスに、いまはその時ではない!と怒鳴り散らすムーディ。
緊急を要する為に大した作戦は立てられなかった。
そして…魔法省へと突入し、自分はあの子の目の前で…若い時、出会ったあの子がアクアに言っていた通りに…水晶玉で見た光景その通りに自分の身は死の世界への入り口へと飲み込まれていった。
それは心地よい眠りだった。
胸を呪文が貫いたその衝撃なんて本当に一瞬の事だ。
暖かい陽だまりで眠っているような感覚…
あぁ、この香りは…
そう思いながらゆっくりと瞳を開けば、真っ白な世界で膝枕をしながら自分を穏やかな表情で見下ろすアクアの姿があった。
フッと小さく笑っては片手を伸ばし引き寄せ、口づけを交わす。
深く…深く…。
やっと逢えた…この愛しい人の温もりに…やっと触れられた…。
そう思えば涙が溢れていた。