第10話
少しの間眺めていれば、モリーの咳払いで現実に戻される。
アーサーが勢いよく立ちあがって「ハリー!会えて嬉しいよ」とハリーの手を握りながら激しく振った。
その隙にビルはテーブルに残っていた羊皮紙をさっと丸めている。
「ハリー旅は無事だったかい?」
10本以上もの巻物を1度に集めようとしながらビルが声をかけた。
「それじゃマッド−アイは、グリーンランド上空を経由しなかったんだね?」
「そうしようとしたわよ。」
トンクスがハリーの後ろから現れると、そう言いながらビルを手伝いに近付いたが、忽ち最後の1枚残っていた羊皮紙の上に蝋燭をひっくり返す。
トンクスはちょっとドジな可愛らしい一面があるのだ。
「あ、しまった…ごめん…」
レンはそれを何もなかった様に手を横にサッと動かせば、時間がそこだけ逆戻りしているのではないかと思う様に、蝋燭の炎に焼かれた部分が元に戻っていく。
その炎の明かりに照らされて見えたのは、先程レンにも見えた間取り図のような羊皮紙だった。
羊皮紙が元に戻ると、モリーはハリーが見ている事に気付きサッと取り上げて丸めてビルの抱えている束の中に押しつける。
「こういう物は会議が終わったら直ぐに片付けないといけません。」
「エバネスコ!消えよ!」
そう言われると、直ぐに魔法で羊皮紙を消しさるビル。
「掛けなさい、ハリー」
シリウスが言った。
「マンダンガスには会った事があるかね?」
「だンか、おンの名、呼んだか?俺はシリウスン、さン成する…」
「マンダンガス、貴方がやらなきゃいけない事がある相手が来たのよ。殴られたいのなら話は別だけれど。」
レンの直ぐ側で鼾をかいて寝ていたマンダンガスは寝ぼけて投票でもする様に汚い手を上げ、血走った垂れ目はどろんとして焦点が合っていない様子を見て、呆れ気味にレンは声をかけマンダンガスの鼻を摘んだ。
商売の為とはいえ、ハリーを危険に晒した事がきっかけで良くは思えていないのだ。