フレッドとジョージがシチューのお鍋、バタービールの大きな鉄製の広口ジャー、ナイフ付きの重い木製のパンの切板を一緒くたにテーブル目掛けて飛ばせたのだ。
シチューのお鍋は、木製のテーブルの端から端まで長い焦げ跡を残して滑り、落ちる寸前で止まった。
バタービールの広口ジャーがカシャンと落ちて、中身が辺り中に飛び散った。
パン切りナイフは滑り落ち先を下にして着地し、不気味にプルプル振動している。今しがたシリウスの右手があったその丁度の場所だ。
「まったくもう!そんな必要ないでしょっ!もうたくさん。お前達、もう魔法を使って良いからって何でもかんでもいちいち杖を振る必要はないの!」
モリーが双子にそう叫ぶ。
「僕達、ちょいと時間を節約しようとしたんだよ。」
フレッドが急いで進み出て、テーブルからパンナイフを抜き取った。
「ごめんよ、シリウス…わざとじゃないぜ。」
「時はガリオンなり…だものね。」
パンナイフを抜き取るフレッドにそう言えば、フレッドはウインクして見せ、ハリーもシリウスも笑っていた。
マンダンガスは椅子から落ちたようで仰向けに転がりながら悪態をついて立ちあがっていたが、レンは敢えて気にしない様にした。
「お前達、母さんが正しい。お前達も成人したんだから、責任感というものを見せないと…。」
アーサーがシチュー鍋を真ん中に戻しながら言えば、モリーはまだ怒りが治まらなかった様で、声を大きくしながら話し始める。
「兄さん達はこんな問題を起こした事が無かったわ!」
新しいバタービールの広口ジャーをテーブルにどんと叩きつけたので、中身がさっきと同じくらい零れた。
「ビルは1m毎に姿現わしをする必要なんて感じなかったわ!チャーリーは何にでも見境なしに呪文をかけたりしなかった!パーシーは…」
そこまで言うと突然話すのを止めて息を殺し、恐々とアーサーの方を見た。
アーサーは急に無表情になっていた。