「私は…この世の中で最も穢わらしい存在よ、生きている事も望んではいけない程に穢れて呪われた血が私の中に流れているわ。この体の血を全て抜き取ってしまいたいくらいに…そんなの私が一番理解しているの。耳にタコが出来る程、言われ続けてきたわ!」
そう言えばモリーはそんな事は…と言ったがレンはそんなのは嘘だと解っていた。
「もし私がヴォルデモートの娘だったとしたら同じ事が言えるの?」と思わず言ってしまえば、モリーは顔を青くして黙ってしまった。
そう、皆そうだ。ヴォルデモートの娘だと解ったら、皆が自分の事を危険視しては死を望むだろう…。
「血が繋がっていない家族は家族と認めて貰えないのなら、おば様はハリーの事を口出す権利はないわ。勿論シリウスも。シリウスだっておば様と同じ気持ちなのよ?ううん、それ以上にハリーを気にかけているのを知っているわ。好きでアズカバンで無実を訴え続けていた訳じゃない。ずっと貴女の今の気持ちと同じ様にハリーを気にかけ心配してきた。ハリーの身に危険が迫っているって知った時、力を振り絞って脱獄する道を選んだくらいに!」
モリーもシリウスも何か衝撃を受けた様に静まり、周りも静かになっていた。
「私達親なしにとって…自分の事を我が子同然に愛してくれる人がいる。そんな存在は、とても暖かく幸せで。私にとってシリウスとリーマスがそうなのと同じ様に、ハリーも貴女達やシリウスをそう思っているはず。…こんな私が言っても説得力はないけれど…けれど、大切なのはハリーの気持ちだと思うし、おば様はあまり過保護になりすぎないで、もう少しハリーの心を見てあげて欲しいって思うの。」
レンは蒼白な顔をしているシリウスとモリーを見ながらそう言うと、リーマスは「座りなさい」とレンとシリウスに言い、2人とも椅子に座り直したが、シリウスはレンの手をしっかりと繋いでくれていた。
「レンはいつも僕の気持ちを一番に理解してくれる…有難う。僕知りたい。何が起こっているのか。」
「判ったわ。ジニー、ロン、ハーマイオニー、フレッド、ジョージ…。皆厨房から出なさい。すぐに。」
モリーは声を掠らせながらそう言うと、忽ちどよめきが上がった。
「俺達成人だ!」フレッドとジョージが同時に喚いた。
「ハリーが良くてどうして僕はダメなんだ?」ロンが叫んだ。
「ママ、あたしも聞きたい!」ジニーが鼻声を出した。
「だめ!絶対に許しません!!」
モリーが叫んで立ち上がり、目をらんらんと光らせている。
「モリー、フレッドとジョージを止める事は出来ないよ。まだ学生ではあるが法律では確かに成人だ。」
「私は……あぁ、仕方がないでしょう。フレッドとジョージは残ってよろしい。でもロン。」
「どうせハリーが僕とハーマイオニーに、皆の言う事を全部教えてくれるよ!…そうだよね?」
「勿論さ。」
ハリーがそういうと、ロンとハーマイオニーがにっこりと笑った。
「そう!ジニー寝なさい!!」
モリーは真っ赤な顔で叫んだ。
ジニーは大人しく引かれてはいなかった。
階段を上がる間ずっと、母親に喚き散らし、暴れているのが聞こえた。
2人がホールに着いた時、ブラック夫人の耳を劈く叫び声が騒ぎに付け加わり、リーマスは静寂を取り戻すため、肖像画に向かって急いだ。