「彼奴の計画がどうして判るの?」
「ダンブルドアは洞察力が鋭い。しかも、その洞察は結果的に正しい事が多い。」
「じゃ、ダンブルドアは彼奴の計画がどんなものだと考えているの?」
「そう、まず、自分の軍団を再構築する事。かつて、彼奴は膨大な数を指揮下に収めた。脅したり、魔法をかけたりして従わせた魔法使いや魔女、忠実な死喰い人、ありとあらゆる闇の生き物達。奴が巨人を招集しようと計画していた事は聞いた筈だ。そう、巨人は奴が目をつけているグループの1つにすぎない。奴が、ほんの一握りの死喰い人だけで、魔法省を相手に戦う筈がない。」
シリウスはハリーの言葉の後に直ぐ答えて見せる。
「それじゃ、皆は彼奴が手下を集めるのを阻止している訳?」
「出来るだけね。」
リーマスが言った。
「どうやって?」
「そう一番重要なのはなるべく多くの魔法使い達に、例のあの人が本当に戻ってきたのだと信じさせ、警戒させる事だ。だけどこれがなかなか厄介だ。」
ビルが言った。
「どうして?」
「魔法省の態度の所為よ。例のあの人が戻った直後のコーネリウス・ファッジの態度をハリー、キミは見たよね。そう、大臣は未だにまったく立場を変えていないの。そんな事は起こらなかったと頭から否定している。」
トンクスがそう言うと、ハリーは必死の思いで「ファッジはそんなに間抜けだったの?だってダンブルドアが…」と言えば、アーサーは苦笑いをした。
そう、ファッジはダンブルドアを恐れている。
ダンブルドアが自分を失脚させ、魔法省を乗っ取ろうとしていると思っているからだ。
勿論ダンブルドアにその気はない。
「魔法省大臣という肩書より、カエルチョコのカードになっている事の方が嬉しいと言う人なのに…間抜けな話よね。」
レンが皮肉たっぷりに言えば、シリウスは小さく笑ってみせる。
ファッジの心の奥には、ダンブルドアの方が自分より賢く、ずっと強力な魔法使いだという事を知っていて、就任当初はダンブルドアの援助と助言を求めていた。
ヴォルデモートが戻ってきた事を受け入れれば、魔法省がここ14年程遭遇した事のない大きな問題になってしまう。
それを受け入れるよりも、ダンブルドアとハリーが嘘を吐いて自分を転覆させようとしていると信じ込む方が楽なのだ。
それはヴォルデモートや死喰い人にとってはもっけの幸いで、服従の呪いをかけようとすればいいカモになる。