彼を室内へと促せば扉を閉め、戻ってきたシリウスに言われる通りにまたチェーンをかけた。
「ヘスチアが今、私と交代してくれたんだ。だからムーディのマントは今ヘスチアが持っている。ダンブルドアに報告しておこうと思って…」
そうシリウスに話している声に、レンはまたもとの場所に戻ろうとしたが、シリウスがそれを制する。
杖を一振りすれば、人1人が腰掛けられそうな籠の様な物に大きなクッションがいくつも乗せられた物を現せば其処にレンを乗せ、底に敷き詰められたクッションはパウダービーズの物の様に柔らかくレンの体を支えてくれる。その感触が心地良かった。
「皆の所へ行っていなさい。」
「来ては行けないと言われたわ。」
そう拗ねた様子で言えば、シリウスは苦笑を浮かべその籠を動かした。
籠がゆっくりと階段を上っていき、シリウスは自分が使っている母親の部屋へと誘おうとしている事が判れば、レンはその籠に身を埋めた。
だが、その肖像画の前まで来るとレンは止まれ!と籠に命令すればその籠は止まってくれる。
そっとカーテンを捲れば、肖像画はその人物を見てうっとりとした表情を向けてくれた。
「あの…起こしてしまって…ごめんなさい。…私レンといいます。アクアさんの娘で、シリウスも私の事を娘だって言ってくれていて。」
「あぁぁ…あのクレスメントが、ブラック家の一員に…?なんて素晴らしい事でしょう…。」
「お祖母様って…呼んでも良いですか?」
「勿論ですよ。愛しい私の孫娘。」
物音で起こされた時とは全く違う彼女の姿。
そしてその視線はレンに対してではなく純血主義者のクレスメントとして向けられている…以前はそれが嫌だったのに、なぜだか今はとても心地良い。
「お祖母様…私、どうしたら良いか判らないの…心が不安定で…今までこんな事思ったりした事なかったのに…。今まで嫌だったものが心地よくて…今まで身をおいていたものに強い孤独を感じて…自分が自分で無くなってしまう様な感覚がするの。」
「可哀想に…今私が貴女を抱きしめて上げられたら、どんなに嬉しいか…この胸に埋めて、いつまでも貴女を撫で続け安心させてあげられたのに…。」
「お祖母様…此処に居たい…私、居場所がないの…」
レンは肖像画にコツンと額を止せそのまま瞳を閉じた。
本当に自分はどうしてしまったのだろう…。
これがヴォルデモートのいう、彼が蘇り、私の中の血が私でなくなるように犯していく…そういう事なのだろうか…?
傷口が熱を持ったように熱い…。