カランカランと再度玄関のベルが鳴り、バッと肖像画のカーテンが開かれたが今までの叫びは聞こえる事がなかった。
目の前でレンが居るからだろう。肖像画の彼女はしゃがみ、愛おしそうにレンを撫でようとしてくれた。
玄関ではモリーの叫び声が響いている。
マンダンガスがハリーの護衛をすっぽかし取引した大鍋を運んでいたのだ。
「私の娘に触らないでいただこうか。お前の様に洗脳されたくないんでね。」
騒がない肖像画を不思議に思ったのだろう、様子を見に来たシリウスが肖像画にそう言い放てば無理矢理レンを絵から離してそのカーテンを力任せに閉めた。
「あれに近付いてはいけない…ほら、心を落ち着かせるんだ。」
いつの間にか赤い瞳になっていたのだろう、シリウスはレンに手をかざしその目を塞がせ背中を優しく撫でてくれる。
「…お前は俺様の側でしか生きられない。その身に流れる俺様の血が、だんだんとお前を支配し、いつしか俺様の隣で俺様と同じ考えを持ち行動する事ようになる。…そうヴォルデモートに言われたの…その時はそんな事ありえない。ってはっきり思ったわ…けれど最近おかしいの…今まで嫌だったものが心地良い…今までなんとも思わなかった事に強い孤独を感じる…これが私がヴォルデモートになっていくって事なのかしら…?」
「レン…そんな風に考えてはいけない。レンはヴォルデモートになったりはしない。」
「でも……ううん、有難う、シリウス。気を遣わせてしまって…ごめんなさい。」
レンはそう小さく言えば、シリウスは指先でレンの額を小突く。
驚いた顔をしたレンと視線を合わせれば、小さく笑ってくれた。
「直ぐに向かう。レンは一足先に皆の所へ行っていてくれ。」
シリウスはそう言うと杖を一振りし銀色に輝く球体の様なものを出している。
レンはそれをなんだか確かめたかったが籠は真直ぐに皆が居るであろう客間へと向かってしまった。
「穢れた血がクリーチャーに友達面で話しかけてくる。クリーチャーめがこんな連中と一緒に居るところを奥様がご覧になったら、ああ、奥様はなんと仰せられる事か…」
「クリーチャー。そんな下品な言葉を使わないで頂戴。」
扉が開けばクリーチャーの声が聞こえ、籠がレンを中へと運びながら、彼にそう言う。