「そう、だったの…。」
「私の両親が今この屋敷がどんな風に使われているかを知ったら…まぁ、あの肖像画でハリー、キミも少しは判るだろうがね。」
シリウスは一瞬顔を顰め、それから溜息を吐いた。
「時々ちょっと外に出て、何か役に立つ事が出来るなら…私も気にしないんだが…ダンブルドアにハリーの尋問に行く事が出来ないか聞いてみた。勿論スナッフルズとして、だが。キミを精神的に励ましたいんだが。どう思うね?」
「スナッフルズ?」
「犬の私の事さ。」
レンが小さく首を傾げて問えば、シリウスはそう短く答えた。
だがハリーからの返事はなかった。今しがた思い出したかの様に顔色が悪くなっている。
大丈夫?と意味をこめて隣に座るハリーの手を握ってみれば、ハリーは曖昧に笑んでくれた。
「心配するな。無罪になるに決まっている。『国際機密保持法』に自分の命を救う為なら魔法を使っても良いと、間違いなく書いてある。」
「でももし退学になったら…此処に戻って一緒に暮らしても良い?」
「考えてみよう。」
「レンも、許してくれる?」
「私?私がハリーの意志を拒んだ事があって?…まぁシリウスの事で喧嘩した事を除けば、だけれど。」
「ダーズリーの所に戻らなくても良いって判っていたら、僕、尋問の事もずっと気が楽になるだろうと思う。」
ハリーはシリウスにはっきりとした答えを迫るように言った。
「此処の方が良いなんて、連中はよっぽど酷いんだろうな…今すぐにはっきりと答えは出せない。まだ無実が証明されていない以上、また遠くに行かねばならないかもしれないし、どうなるか判らないからな。だが、無実が証明されたその時や、裁判で万が一が起こった時は、クレスメント邸で一緒に暮らそう。その方が私にもハリーにも心身的に良い。」
「そこの3人、早くしないと食べ物がなくなりますよ。それとレン、貴女にはお薬が届いていますからね。」
「…あの薬、死にそうなほど不味いの。かぼちゃジュース味だったら良かったのにね。」
暗い視線をタペストリーに投げるシリウスや気が沈んでいるハリーを明るい気分にさせようと冗談を言ってみるが、2人は何も反応せずに3人は厨房へと降りて行った。