「大丈夫か?何があった?」
「息苦しくて…目が…熱くて、痛い…」
痛みにきつく閉じていた瞳をシリウスの方を見ようとするも、まるで鉄の壁が目の前にある様に前が見えない。
だがシリウスは閉じていて良いとレンから眼鏡を取ると目を片手で覆い隠し、そこに包帯を巻きつけた。
「皆心配しなくて良い。傷にかけられた魔法が悪さをしているだけだ。…私は部屋に寝かせてこよう。直ぐ戻る。」

それから数日、レンは様子を見る為に包帯を解いてくれるその時以外はまた包帯を巻きつけ部屋に閉じこもる生活が続いた。
「何が起こっているの?」とレンがその日の晩、様子を見てくれているシリウスに訊ねても何も答えてはくれなかった。
瞳に包帯を巻かれたその日の晩、瞳の包帯が取れる時までで良いから…と大人達に頼み込んでくれ、隣にはハーマイオニーが寝てくれる様になった。
「大丈夫、私寝相は良い筈だから、貴女の傷を足蹴にしたりしないわ」なんて言ってはレンを笑わせてくれた。
ハーマイオニーはその日の掃除で起こった事をレンに話して聞かせてくれる。
シリウスのお父さんの指輪をクリーチャーが持っていこうとしたのをシリウスが取り上げて泣いてしまったとか…
1階のダイニングルームでは食器棚に大皿ほどもある大きな蜘蛛が数匹隠れていた、とか…
ブラック家の家紋の入った食器類はシリウスが全て無造作に袋に投げ込み、古い写真類も同じ運命を辿ったのだという。
「お祖父様やお祖母様達の写真、欲しかったわ。…血の繋がった家族じゃないけれど…私の家族の写真は1枚しかないから…」
そう言うレンにハーマイオニーは鞄の中に潜めておいたマグルのカメラを取り出せば自分とレンの写真を撮ってくれる。
「次の夏休みに現像して渡すわね?それとその包帯が取れた時にもまた撮らなきゃ。魔法族の写真と違って動かないけれど、これはこれで良いでしょう?」
そう言ってレンの心を和ませてくれる。