「母の遺体は…何処にあるの?」
「どうです、姫君?我々と共に来ていただければ、直ぐにでもあのお方の綺麗なお身体を探し出して差し上げましょう…さぁ、姫君…此方へ…。貴女の選ぶべき道は此方なのです。」
ルシウスは小さく笑んでみせると、そっと手を差し出す。
シャルの最後の願い…母親の遺体を連れ帰る事。
それを叶える為にはルシウスと共に向こう側に行くしかない。
レンはその手段しかないように思えた。
だが、ハリー達の信頼も裏切りたくない…が、自分の腕には既に裏切ったとみなされるマークが刻み込まれている…。
ハリーとハーマイオニーは受け入れてくれた様に思えた…だが、ロンがこの印を見た時…どんな反応をするだろう…。
フレッドは…リーは…と、どんどんと仲間の顔が浮かんではレンの胸を締め付けていく。
レンはほんの少しだけルシウスの手を取ろうと手を伸ばしかけたまま、体を動かす事が出来なくなってしまっていた。
…どうするのが1番なのだろうか…ルシウスは、全てを失いかねない決断だと言っていた。それならば、向こうへと行った方が…。
伸ばした手にはめられたピンキーリングを見つめ心の中で小さく呟く。
すると不思議な事に指輪にははっきりと『NO』と文字が浮かび、同時に懐中時計が熱く熱を放つ。
レンはそれに小さく頷けばその手を引いた。
そして真っ直ぐにルシウスを見つめるとにっこりと微笑んでからベーッと舌を出すと、シャルが亡くなったあの時の様に自分の魔力を放出し、辺りの死喰い人を吹き飛ばしてロビーの方へと走り、神秘部の扉の外に出るとそれを背凭れにして大きく息を吐いた。
「ちょっと待って…え?…ハリー、貴方達どうして…」
中から戦う音が聞こえ、レンは血の気が引いて行くのが判った。
何度か大きな音が聞こえた後、レンは急激に血の気を感じ咳き込みながら血を吐き出してしまう。
夏の休暇の時、騎士団本部にいた誰かが攻撃を喰らい死にそうになったのを結界が守ったのだというのが判った。
(P.11/全P.49)
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