「じゃ、愛しい我が君の娘が反抗期なのもアンタの所為だ。それもそうだろうねぇ…アンタはこの娘から多くの者を奪ったんだから…アハハハハハッ」
「どういう事なの?」
余計な事を言うなと睨むルシウスに、ベラトリックスは気にもしない。
「あれ?アンタ知らないの?お前の母親を殺したのも、魔法省に入れ知恵をしてアンタの可愛い屋敷しもべを残りの家族を奪ったのは全部コイツの差し金さ」
熱くなったら、心を乱されてはこちらの負けだと…そう思いながら気持ちを落ち着かせているつもりではいたが、ベラトリックスの言葉に瞳は血の様な赤い色に…蛇の様に鋭いものへと変わっていく。
「そう、それがあの方とアンタの絆!なのにお前はあの方を裏切った…!」
そう言うベラトリックスを一喝し、レンは真直ぐにルシウスを見つめる。
「本当なの?」
レンの言葉にルシウスは観念した様に大きな溜息を吐いた。
「えぇ、真実でございます、姫君。ですが…このルシウス、貴女様があんなにも虐待されているのを知り、我慢出来なかったのでございます。」
今まで叔父はルシウスの前でレンを叩く事はしなかった。
だが、あの事件の前。
確かに叔父はレンを殴っていた…それが原因だというのだろうか?
「母を殺したのは…貴方なの?」
「我が君の愛しい子を産みながら、それを受け入れる事をしない。存在を認める事をしない…このルシウスはそれが辛抱なりませんでした。そして言ったのです。我が子として受け入れるか、せめて私に譲渡して欲しいと。そうしてさえくれれば、貴女の訴えに私も協力をすると…そう申し出たのでございます。」
ルシウスは、まるでヴォルデモートに話し許しを請うかの様に言うと、優しくレンの手をとるがレンはそれを直ぐに払い退ける。
「嘘よ…母の最期の日記には、自分の命をもってシリウスの無罪を証明して見せるって、クレスメントの命を賭けられる程の訴えならば、それを信じ協力する…そう言われたような事が書いてあったわ。」
「嘘ではございません、姫君…もし私の願いが聞き入れられず、シリウス・ブラックの無実を証明したければ、その命の重さを上手く使うのだと、アドバイスさせて頂いたのでございます。そして次の日…彼女は魔法省大臣の所へ行った。その後の事は私は知る由もなく…」
レンの心はとても複雑なものになっていた。
物心つく前からルシウスはヴォルデモートの子としてではあるが、ドラコと共にいつも気にかけてくれていた。
今の屋敷から出る事は殆どなかったが、頻繁に訪れては色々な事を教えてくれていた。
シャルもそうだったが、レンにとってルシウスもまた親にも似たようなものだった。
そのルシウスが…自分の母親を死に追いやり、そしてシャル、伯父夫婦までも手にかけたのだという…。
色々な感情がレンの胸の中で渦巻き、どうしたら良いかすら判らなくなりそうだった。
(P.10/全P.49)
前へ | 一覧へ | 次へ