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「冷たい物も飲めたし外の空気もゆっくり吸えたからだいぶ良いわ。」
「そうか。…なら、少し良いか?大事な話があるんだ。…今回はキミを連れ戻す話ではないから安心してくれ。」
そう言い近くの路地裏にレンを連れて行くドラコに、レンは小さく首を傾げては足元に目を向けると、今度は伸び耳が此方に来ていたが、ドラコは気塚図に路地裏に入っては壁を背にすると、どこか複雑そうな表情を浮かべた。
「…父上の事だ。レン…僕、真実を聞いたよ。」
「何の事?」
「レンの母上と伯父さん、伯母さんの事だ。」
「あぁ…」
レンは思い出したくないと言いたげに頭を掻けば、ドラコは眉を下げて悲しそうにレンを見つめていた。
「…僕は、魔法省が全て自分達の保身とレンの力を手に入れる為に行ったって聞かされてた。知らなかったんだ…ごめん、レン。」
「別にドラコに謝ってもらっても…。」
「けど、レンの母上は父上の言葉を真に受けて父上と母上の目の前で自害したって。それに、伯父さん達は父上が直接手をかけたって伯母上から聞いた。…レンが小さい頃から父上と母上の愛に飢え泣いていたのを僕は知ってる。泣かしていたのは僕の父上だった…。」
レンはドラコの言葉に内心驚き止まった。
あの時のルシウスは魔法省がやったと言っていた。だが、そう言われてみれば母の遺体を“綺麗なご遺体”と言った。
遺体の状態まで知っているという事は、ドラコの言っている事が正しく、それを隠す為にルシウスが遺体を隠したと考えるのが正しいだろう。
「そうね…ルシウスの事は、今はまだ許せそうもない。それにドラコの伯母様のベラトリックスの事も…彼女はやっと手に入れる事が出来た父親を…私から奪おうとしたわ。…けどドラコは幼馴染だから。理由やきっかけは『あの人』に関しての事かもしれないけれど、一人で泣いていた私や今の私にも慰めたり元気付けてくれたりしてくれるわ。私はそんなドラコを傷付けたくはないって思っているの。できれば戦いたくない。今までドラコに色々文句を言ったのもドラコの事をなんとも思ってなかったら無視しているもの。考えを変えてもらえたら…そう思う自分もいるの。だから…あの時言ったように、ドラコにはルシウスと同じ道を進んでは欲しくない。」
「僕もそうだ。レンが考え方を変えて僕の側に居てくれるのなら嬉しい。レンには乱暴な事はしたくないしキミの泣き顔は見たくないんでね。キミを泣かす者は酷い仕打ちを受けてもらおうとさえ思っていたのに…。学校でずっと元気がなかったのはシリウス・ブラックの事だけではないんだろう?」
「…学校にいる間はルシウスの言葉もあったけれど、シリウスの事だったわ。あの人はやっと私にできた父親同然の人。その人がどうにかなってしまうんじゃないかって…。」
思わず眉を顰めて涙を堪えれば、ドラコはその頬に手を触れさせ、親指でそっと目尻をなぞれば涙を拭ってくれる。


(P.50/全P.208)
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