制服に着替え終えると、暫くすれば列車が速度を落とし始め、レンはまだ帰ってこないハリーに心配をすれば、自分のトランクとハリーのトランクを一緒にくっつける様にして運ぶと「ハリーを迎えに行ってくる。」とレンはそのまま先ほどのコンパートメントへ荷物を引きずりながら移動した。
途中でパンジーとすれ違うと恨みの篭った視線を向けられ、レンはそれを気にせず進み続ける。
「今のは父上からだ。」
そういう音と共に生々しい音が聞こえるとレンはバッとそのコンパートメントの扉を開ければ、ハリーが脚を海老のように丸めて蹲った格好でピクリとも動かず鼻からは血が流れ落ちているが、それと同時にレンの身がロープで縛られ、体勢を崩しては、その場に崩れる様に座り込んでしまう。
「レン、コイツを探しに来たのか?」
「えぇ。」
「たった今、僕らの話を盗み聞きしてた罰を受けてもらった。」
ドラコはハリーの体の下敷きになっている透明マントを引っ張り上げるとそれをハリーの体にかけてその身を隠す。
レンはそれに慌ててハリーの元へ駆け寄ろうとするも、それをドラコはロープを掴み許そうとはしない。
「ドラコ、悪巫山戯はよして。」
「巫山戯ていると思うか?」
「キミは僕に攻撃は出来ないだろう。だが、僕は…キミを守るためなら敢えてキミに攻撃する事も厭わない…そう決めた。」
「そういう覚悟なら、私も覚悟を決めなきゃいけないみたいね。」
「魔法に関する事ではキミに劣るかもしれないが…」
レンは素早くロープの魔法を無効化し、杖を出さずに無言呪文でドラコに金縛りの呪いをかけるが、レンの杖腕を掴んで上に挙げ天井にその魔法が当たり火花が散るのと常時に、ドラコはレンに口付け、レンは暴れるも男性の力には敵わず、無理矢理どろっとした液体を飲ませれば、レンの体からは力が抜けその場にぺたんと倒れてしまう。
せめて、ハリーを動かせる様に…と、意識が遠のく最中、手を伸ばしその肩に触れ、血の力を使いその魔法を解こうとするが、ドラコがその手を掴みレンを横抱きにした瞬間にレンの意識は遠退いた。
「男と女としての力の差は歴然だよ、レン。それに僕はレンの弱みに強み、全てを知っている。…ポッター。お前の目の前でこうして奪ってやりたかったんだ。レンならお前を必ず助けに来ると思っていた。」
自分の胸に身を預ける様に眠り続けるレンに、ドラコは愛おしそうな視線を向けてから、勝気にハリーを見下ろしてみせる。
「レンがお前を助けられずこのままロンドンに送り返されてしまうもんなぁ…いつも助けてくれていた人に助けて貰えないのはどんな気分だ?役に立たずだと失望したか?そのままレンの傍から離れていてくれ。お前にレンは勿体無い。その気もない癖に、彼女を振り回すな。彼女の隣は僕のものなんだ。あぁ、勿論あのウィーズリーにも渡すつもりはない。」
ドラコは、ハリーを自分の恋敵とでも思い込んでいる様で、そう最後に言い放てば、自分の荷物とレンの荷物だけ魔法で浮かせて持って行き、汽車を降りて行った。
(P.73/全P.208)
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