レンが目を覚ましたのはその日の夜だった。
意識が朦朧として、記憶が曖昧だ…どうしたんだっけ…。
ズキズキと頭が痛み、何が起こったのかが理解できない。
ゆっくりと身を起こした瞬間、レンは何者かに強く抱きしめられ何が起こったのか理解できなかった。
目の前が人の温もりで包まれてはいたが真っ暗だった。
「ごめん。」
小さく身を震わせて言うその声の持ち主が誰なのか理解するのに時間がかかってしまう。
「…ハリー?…あれ、どうして私…。」
「マルフォイに何か飲まされたんだよ。覚えてない?」
レンは思い出そうとするもうまく思い出せず記憶に靄がかかっている様だった。
「ごめんなさい…スラグホーンのランチが終わったところまでは覚えてるんだけれど…。」
思い出せないなら良いんだ。とハリーはにっこりと微笑んだ。
「ハリー、何があったの?貴方から魔法の香りがするわ…。」
レンは優しくハリーの頬や小鼻のあたりを撫でれば、ハリーは恥ずかしそうに視線を逸らした。
「あまり思い出して欲しくない現状だったんだけど…彼奴に呪いをかけられて動けなくなってたところをレンが助けにきてくれた。レンはマルフォイに何か飲まされて気を失ったんだけど、僕にかけられた呪いを解こうと必死になってくれてた。マルフォイはそのまま気を失ったレンを運んでいって…僕はレンが頑張ってくれたお陰で、片手だけ動かせたんだ。杖をやっと握れて汽車が戻ってしまうギリギリで汽車から出る事ができたよ。有難う、レン。…それと、守ってあげられなくて、ごめん。」
ハリーはそこまで説明すると、レンはほっと息を吐いた。
「ハリーが無事に此処に居てくれただけで十分よ。良かった。」
レンは嬉しそうにそう微笑めば、ハリーは再度強くレンを抱きしめた。
「僕、レンの傍を離れたりなんかしないから。…その代わりこんな失態、出来るだけしたりしない。誓うよ。」
「逆にこんな事で離れられたら、私どうしたら良いのか判らないわ。ドラコに何を言われたのかは判らないけれど気にしたらダメ。そんな辛そうな悲しそうなハリーより笑っているハリーの方が私は大好きよ?」
レンがそう言うとハリーは驚いた様に目を丸くするも、すぐに頬を赤らめて照れ臭そうに小さく笑う。
「うん、そっちの方がいいわ。」
そう嬉しそうに言うレンにロンもハーマイオニーも笑ってしまった。
その後マダム・ポンフリーは、記憶障害の作用のある薬と眠り薬、2つの強力な薬を同時に飲ませた所為で、思う様に効果が出なかった様だと教えてくれた。
薬の分析をしたが、誰かによる自作の薬による可能性が高く、2つの薬を合わせ今後どんなことが起こるかは完全に予想しきれないと言う。
レンは「今はもう健康体なら問題ありません。何か現れたらまたここに来ます。」と言い約束すれば退院させてもらった。
3人と一緒にレンは寮に戻り、ハリーとロン、ハーマイオニーは広間であった事を教えてくれた。
あのスラグホーンが魔法薬の先生なのだという。
「そうだろうと思ったわ。私の得意な学科を教える事になったって言っていたでしょう?闇の魔術に対する防衛術はリーマスが先生の時に失態をおかしてしまったから…もしかしたらって思ったの。それじゃ闇の魔術に対する防衛術はスネイプなのね?」
「あぁ。彼奴の念願が叶ったってやつさ。」
ハリーは小憎たらしそうに言い、レンは苦笑してしまう。
「でもあの学科は長続きしない呪われた学科って言われているから…今年も何か起こりそうね。」
レンは溜息1つ吐けば、3人も大きく頷く。
寮へ戻ればハリーとロンに「今日は心配かけてごめんなさい。おやすみ。」と2人に声をかけてハーマイオニーと一緒に寝室に登っていく。
(P.74/全P.208)
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