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「そしてこの素晴らしい賞をどうやって獲得するか。さぁ上級魔法薬の10ページを開く事だ。あと1時間と少し残っているが、その時間内に生ける屍の水薬にきちっと取り込んで頂こう。これまでキミ達が習ってきた薬よりずっと複雑な事は判っているから、誰にも完璧な仕上がりは期待していない。しかし、一番良く出来た者がこの愛すべきフェリックスを獲得する。さぁはじめ!」
レンは教科書の10ページを開くとそれを一度読み、記憶を手繰り寄せながらその内容を頭に入れると、軽く腕まくりをしてから作業にかかる。
カノコソウの根を丁寧に刻み、アスフォデルの球根の粉末やニガヨモギなどその他の必要な物の分量を正確に測る。
10分もすれば教科書通りの理想的な中段階「滑らかなクロスグリ色の液体」になっており、レンは小さく息を漏らした。
確か『催眠豆は汁を絞るのは厄介。より多くの汁を楽して絞るには銀のナイフで潰すのが最適!セブのお墨付き◎』確かそんな事が書いてあったっけ…。と、思い出しながらレンはその豆を潰しその液体を全て大釜の中に入れれば、薬はたちまちライラック色に変わって行く。
こういった変化を見られるのが面白い。
レンはそう思うと口元を緩める。
「レン。そのナイフ使い終わった?」
「えぇ。使う?」
「うん、貸してもらえる?」
ハリーはそういうとレンは、綺麗に拭き取った銀のナイフを刃の方を持ってハリーに手渡せば「有難う」と嬉しそうに礼を言いレンはにっこりと笑んで見せる。
レンは大鍋を攪拌しながらその回数を数えていた。
「どうしたらそうなるの?」
ハーマイオニーは顔を真っ赤にして詰問した。レンとハリーの薬が教科書通りの反応を示しているのだ。
だが、ハーマイオニーは湯気で髪の毛を膨れ上がらせながら頑張ったが、彼女の薬まだ紫色だった。
「時計回りの攪拌を加えるんだ。」
ハリーがそう言うと、ハーマイオニーは「ダメダメ。本では時計と反対周りよ!」と言う。
ハリーは肩を竦め、レンは「7回に1回逆方向。生ける屍の薬は実はこっそりへそ曲がり。」そう小さく呟けば、ハリーが思わず吹き出したので、レンは「母の本にそう書き込みがあったの。」とハリーに言うと、ハリーはレンの方へと身を伸ばし手招きするのでレンもそちらに耳を傾ける。
「この教科書の持ち主もレンのお母さんと同意見みたいだ。」
そうハリーが囁き、レンは教科書に視線を落とすと余白がないほどに書き込みだらけの本があり、レンは小さく笑う。
2人の薬はだんだんとごく淡いピンクの色に変わっていき、スラグホーンが終了を告げると2人の薬はまだ時間が足りずに水の様に透き通るとまではいかなかったが、それに限りなく近い状態だった。
スラグホーンはそれぞれの大釜を攪拌したり匂いをかいだりしてゆっくりとテーブルを回って行く。
レン達のテーブルに来ると、ロンのタール状の物質を見て気の毒そうな顔をし、アーニーの濃紺の薬は素通りし、ハーマイオニーの薬にはよしよしと頷き、レンとハリーの薬には信じられないという喜びの表情が広がった。
「まぎれもない勝利者だ!素晴らしい、素晴らしい!2人の母親は互いに魔法薬の名人だった。2人とも母親の才能を受け継いでいる…!」
スラグホーンはご褒美を2人分用意するとそれをレンとハリーに手渡した。
ハリーはそれをすぐさま内ポケットに滑り込ませ、レンはそれをまじまじと見つめていた。


(P.90/全P.208)
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