第84話:賭け
魔力に導かれる様に走り続ければ、広間の所にハリーとベラトリックスの姿を見つける。
「私は、昔も今も、闇の帝王の最も忠実な従者だ。あの方から直接に闇の魔術を教わった。私の呪文の威力はお前のような青二才がどう足掻いても太刀打ち出来るものではない。お前は私に勝てないよ、ポッター!さぁ揉んでやろうじゃないか。本当の闇の魔術がどういうものか教えてやるよ。」
クルーシオ!とベラトリックスがその台詞の後に唱えたが、ハリーが隠れた石像に当たり、その破片がクルクルと小さく回った。
「クルーシオ!」
レンが真似をする様に彼女にそう唱えれば、ベラトリックスは身を倒し、その場で悲鳴をあげて苦しみ始める。
レンはそれをハリーとベラトリックスの間に立つように回り込み、移動を終えれば呪文を止め赤い瞳で見下ろした。
「残念な事に、私は幼い頃から闇の魔術と対面してきたのよ。貴女にハリーを傷付けさせたりはしない。…シリウスを私達から奪った報いを受けてもらうわ…。安心して。簡単には殺してあげないわ…貴女が思う私の父はそうするでしょう?」
レンがそう不敵に笑めば、ベラトリックスの顔色に恐怖が浮かんだ。
「その血を流した腕で、正常に呪文が唱えられるとは思わないね。」
ベラトリックスは怯えた様子でも強気にそう言えば、レンは小さく首を傾げる。
「さっき苦しんでたのはどこのどなた?」
ハリーがレンの隣に立ち、レンに加勢をする様に杖を構えた。
「ヴォルデモートはとっても怒ってるわ。聞こえるのよ…耳元で今も煩く騒いでいる…。呪文は知っているな?そうだ、その女を殺そうと強く思いながら唱えるのだ…そう、私に指導してくれてる。」
「ご主人様…お許しください、ご主人様!今、今すぐに予言を…」
チラリとハリーを見やると額の傷が痛むのだろう、瞳を潤ませ顔を歪めている。
レンは空いている手を取り、ハリーとしっかり繋げば、ハリーはレンをチラリと見遣り「有難う。」と勇気付けられた様に微笑んだ。
「それは無理だな。予言の球は砕けた。ヴォルデモートは何て言うだろうな?」
ハリーが冷たくそう言い放てば、ベラトリックスは「嘘吐きめ!」と叫び呪文で必死に予言を手に入れようと杖を振るい続けたが何も起こらなかった。
(P.19/全P.49)
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