中程まで移動すれば、ハーマイオニーはレンの胸で声を上げて泣き崩れ、レンは優しく頭を撫でるしか出来なかった。
「ロンなんて…ロンなんて…!…私が、いったい…何したって、いうの…!」
「ロンは、ハーマイオニーがクラムとキスをしたって知ってそれを怒っているみたいなの。」
その言葉にハーマイオニーはジニーがバラしたと判ったのだろう、大粒の涙を溢れさせながら「そんなのとっくの昔の事よ。」と泣きじゃくる。
「えぇ、そうね…子供ね。」
暫くそう泣き続けるハーマイオニーを撫で続けていれば、ハーマイオニーはレンから身を話すと、壊れそうなほど弱々しい声で「有難う。」と微笑んだ。
その儚い姿にレンはハーマイオニーをもう一度きつく抱きしめてしまう。
「ハリーが…言ってたの。レンの側は落ち着くって。本当ね…暖かくて優しい香りがして…。」
「褒めすぎよ。ハーマイオニーだってハリーだって暖かくて落ち着くわ。」
レンはそう言い、ハーマイオニーの頬に自分の頬を寄せた。
「ほら、ハーマイオニーだって暖かい。」
レンがそう言うと、ハーマイオニーはどこか擽ったそうだった。
レンは窓際にハーマイオニーを連れて来ればその窓を開けて星空を見上げる。
「私ね、落ち込んだ時よく星を見ていたの。あの庭に出て何時間も其処に座って。」
レンは壁を背にして2人で椅子に座ればハーマイオニーはレンの肩に頭を寄せる。
レンが守護霊の魔法を唱えれば、そこに大きな犬が姿を現し、その犬は優しい瞳をハーマイオニーに向けた。
「シリウス?」
「えぇ。シリウスが無罪になってから形を保てる様になったの。なんか落ち込んだ時この瞳を見ていると心が癒されるの。」
「…確かに、優しい目をしてるわ。…貴女にはシリウスがこう写っていたのね。」
ハーマイオニーは杖を振るい黄色い小鳥達を作り出せば、光の犬はそれを捕まえようとぴょんぴょんと飛び跳ね、小鳥達は囀りながら犬と戯れる様に飛び続けている。
「母とシリウスもね、毎日喧嘩ばかりしていたんですって。」
「シリウスが?」
「えぇ。最初はお互いに嫌い合っていたって。けどお互いに惹かれ始めて素直になれなくて言い合って喧嘩ばっかり。…私ね、シリウスが亡くなったあの日過去に飛んだの。原理は判らないけれど…その時も2人は喧嘩していた。…ね、シリウス。お互い思った事を言っては歯止めが利かなくて言いすぎちゃうのよね。それで母が怒って立ち去ると、シリウスはきっかけが欲しくて悪戯仕掛けて、また怒らせてしまうの。リーマス曰く母もシリウス相手には直ぐ怒って言いすぎてしまっていたみたい。」
守護霊の犬を撫でようとしながらそう言うと、その犬はすぅっと消えてしまう。
「此処にシリウスが居てくれたら上手く元気付けられたのでしょうけど…。でもハーマイオニー、上手く言えないけれど、貴女達も私の目からはシリウスと母の様に見えるの。子供じみた事で怒って反撃して、それで相手を更に傷付けてしまって…でも子供だから気付かない。…恋心って厄介ね。シリウスが私にまだ早いって言ったの、判る気がするわ。」
小鳥を作り出しながら「シリウス達みたいにはなれないわ」と小さく苦笑する。
「私には心の奥底に抱えている想いは同じに見えているわ。」
「…そうだと、良いわね。」
「大丈夫よ。あのハーマイオニーが、他人の事には鋭いって褒めてくれたのよ?それにね、貴女がハリーを褒めている間、ロンは自分だってそうだってずっと対抗していたのよ?ハーマイオニーに誰よりもよく見られたいって思っている証拠だと思うの。」
悪戯っぽく言うレンに、ハーマイオニーは「ありがと」と小さくお礼を言いレンの肩に甘える様に寄りかかっていた。
(P.142/全P.208)
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