「先生の魔力がいつもと違うものに感じます。疲れや憂いが混じっている様な…大丈夫ですか?何かご無理をなさっているのでは…。」
「我輩を気にかける必要はない。」
「母と同世代の人を私はもう失いたくない。心配くらいさせてください。」
「キミが案じてもどうにもならぬ事だ。」
「…6年生になる前、ナルシッサが我が屋敷の森に姿を現しました。ベラトリックスと共に。」
その言葉にスネイプは珍しく瞳を大きくしレンの方に視線を向けた。
「ベラトリックスは隙あらば私を殺そうとナイフを構えていましたが、ナルシッサは違った。2人分の杖を私に寄越して、話がしたいと…ベラトリックスと私の間に盾になるように立ち続けました。」
「それで?」
「ドラコを守って欲しいと…何があるかは言えないが、命に危険が及ぶかもしれない。その時は私の力をドラコに使って欲しい…そう懇願されました。」
「…それをなぜダンブルドアではなく我輩に言うのかね?」
「貴方は…いつも命に危険が及ぶとその身を盾にしてまでも助けようとしてくれた。一昨年、私をあの場から助けてくれたのは貴方でしょう?あのメモの筆跡…授業の時ではなくて、個人授業の時、この筆跡を見た覚えがあります。それに、懐かしい薬品の香りがした。その香りが彼方のもの、とは確定できないし、ハリーに対しての態度には思うところはありますが、それでも貴方の事は信じられる…そう思います。貴方の瞳の奥は…どこか死喰い人とは違う。」
レンのその言葉にスネイプは深く溜息を吐いた。
「…お前のその瞳には、世界がどの様に映っているのだろうな…」
そう一言だけ言い、スネイプは前を向くとまた歩き出してしまう。
「気苦労があるだけだ。お前が気にする様な事は何1つない。」
スネイプは暫く無言で歩き続けたかと思えば思い出したかのようにぽつりとそう言うと、校長室へと続くガーゴイルに合言葉を言い、変に反応される前に「行きなさい。」とレンを促す。
レンがそれに頭を下げてその前を行こうとすると「レン」と声をかけられ、レンは驚いた様子を見せスネイプを振り返った。
「一度、いや何度でも構わん。キミの幼馴染をと少し話でもして見たらどうかね。ドラコは何かを抱え苦しんでいる。お前ならそれを軽くしてやれるかもしれぬ。」
「はい。判りました。」
そう言うと一瞬だけ優しい視線を向けたスネイプは直ぐに自分の事務所へと戻って行ってしまった。
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