他の記憶はとても短いものだった。
1つは「初めてのママと二人っきりのお留守番…一緒に頑張ろうね。」と言われては両手を上げて「あーい!」と返事をするレンの姿。だが、アクアが少し席を外したその時、ワームテールと同行姿現しをして一緒に来ていた死喰い人にアクアが襲われ、連れて行かれるレンの記憶。
そしてもう1つの記憶…これが見るのはとても苦しいものだったが興味深い内容だった。
広がった風景はどこかの地下牢の様な場所。
其処にはあちこちに打撲の痕や首筋から血を流し、他にも細かな傷だらけで衣服は何があったか察せる程に乱れているアクアの姿。
アクアは立ち上がると「かの者が取り込みし我が血よ。我が意に従え!」と命令した途端、どのような効果を与えたかは判らないが、ヴォルデモートが苦しみ始めた事や他の記憶のことを考えても大体は想像がつく。
アクアを強姦した後、ヴォルデモートはアクアの首に噛み付き、その血を飲んでいたのだろう…。
「貴方もあの愚かな母親も気にも留めなかった愛を大切にする分家の魔法よ。精々馬鹿にした魔法に苦しめられれば良いわ!」
壁を支えにしそう言うアクアと、胸を押さえて苦しむヴォルデモートに慌てて駆け寄る死喰い人。
次の瞬間、緑の閃光が走り、死喰い人が倒れ、そしてアクアもどこか苦しそうだった。
「教えてあげる。どんなに乱暴をしたって、私は貴方の駒のひとつにはならない。私か私の子が必ずアンタに死を届けてあげるから!」
そう言っては、アクアはそのまま姿をくらまし、闇の中に戻ればすぐに次の記憶が広がっていく。
次の記憶の場所は見知った場所だった。
あのホグワーツの図書室にあるあの裏側の部屋に制服姿のシリウスとアクアの2人の姿…今まで記憶は時系列順に見る事が出来たが、この記憶はまた学生時代のもののようだ。
部屋の中は魔法でランプの光以外真っ暗で、時計を見る限り外の時間とリンクされているようで、2人は遅くにベッドを抜け出している事が窺えた。
アクアはそこに設置されている今は無いベッドに横たわっては何かを考えている様で、シリウスはその傍に座っては同じく何かを考え耽っている様だ。
「…ねぇ、今アンタは何考えてる?」
「…昼間会った女の事だ。」
「あぁ、シリウスの好みにストライクな子じゃない?胸も私みたいにお粗末じゃないし?」
「否定はしないが、彼奴…多分お前の子供だな。」
「は?」
「笑った顔がそっくりだった。抱きつかれた瞬間、ふわっとお前みたいな香りがしたし、あの時計が見えた。一瞬お前が重なって見えた。」
「なーに言ってんのよ。私はそんな風に感じなかったわ。」
アクアは一瞬眉を動かしたが、そう言っては笑っていた。
(P.202/全P.208)
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