「ハリーはあのパンフレットが役に立つかと思うたかのう?」
「あんまり。」
「そうじゃろうと思うた。例えばじゃが、キミはまだワシのジャムの好みを聞いておらぬのう。ワシが本当にダンブルドア先生で、騙り者ではない事を確かめる為に。」
「それは、でも…」
「キミの後学の為に言うておくが、ハリー、ラズベリーじゃよ。特に昔レンの家で食べたラズベリーのジャムはとても美味じゃった。」
「シャルに作り方を教わってますので、今度作ってお贈りしますね。」
レンは小さく笑って言えば、ダンブルドアは「それは楽しみじゃ。」と声が弾む。
「まぁもっとも、ワシが死喰い人なら、ワシに扮する前に、必ずジャムの好みを調べておくがのう。」
「あ…はい。」
ハリーは叱られているのか、どう答えて良いのか…と、よく判らない様な返事を返すと、此処じゃよ、此処。と小綺麗な石造りの、庭付きの小さな家に近付き門に向かっていたダンブルドアが急に立ち止まった。
「先生…何かの血の香りがします。」
ハリーがダンブルドアにぶつかっている最中にレンは杖を抜いてはそう言うと「なんと、なんと、なんと。」とダンブルドアは声を漏らす。
ハリーはその視線の先を見ては愕然とした様だった。
そう、きちんと手入れされた庭の小道の先、玄関の蝶番が外れてぶら下がっていたのだ。
ダンブルドアは通りの端からは島で目を走らせた。全く人の気配がない。
「レン、他に魔力は感じるかのう?」
「此処にいる3人の他に建物の中に1人感じます。」
「左様か。ハリーは杖を出して、2人でワシについて来るのじゃ。」
アンブルドアが低い声で言っては、門を開け、2人をすぐ後ろに従えて
素早く、音もなく小道を進んだ。
そして、杖を掲げて構え、玄関のドアをゆっくり開けた。
「ルーモス!光よ!」
ダンブルドアの杖先に明かりが灯り、狭い玄関ホールが照らし出された。
左側のドアが開けっぱなしだった。
杖灯りを掲げ、ダンブルドアは居間に入っていった。
無意識なのかも知れないが、空いている手でレンの右手をハリーは取るとダンブルドアの直ぐ後についていた。
乱暴狼藉の跡が目に飛び込んできた。
室内はバラバラになった床置時計が足元に散らばり、文字盤は割れ、振り子は打ち棄てられた剣のように少し離れた所に横たわっている。
ピアノが横倒しになって、鍵盤が床の上にばら撒かれ、その側には落下したシャンデリアの残骸が光っている。
クッションは潰れて脇の裂け目から羽毛が飛び出しているし、グラスや陶器の欠片がそこいら中に粉を巻いた様に飛び散っていた。
(P.6/全P.208)
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