第3話:ホラス
「さて、元気だったかね、ホラス?」
「あまりぱっとしない。…胸が痛い。ゼイゼイする。リュウマチもある。昔の様には動けん。まぁ、そんなもんだろう。歳だ。疲労だ。」
「それでも即座にあれだけの歓迎の準備をするには、相当素早く動いたに相違なかろう。警告は精々3分前だったじゃろう?」
ダンブルドアの言葉にスラグホーンは半ば苛々、半ば誇らしげに言う。
「2分だ。侵入者除けがなるのが聞こえなんだ。風呂に入っていたのでね。しかし」
再び我に帰った様にスラグホーンは厳しい口調で言った。
「アルバス、私が老人である事実は変わらん。静かな生活と多少の人生の快楽を勝ち得た、疲れた年寄りだ。」
その言葉にハリーは部屋の中を見回し、レンはあまり失礼がない様にと緊張してばかりだ。
不機嫌な歳の離れた男性はどこか苦手意識があるのかもしれない。
「ホラス、キミはまだワシほどの年ではない。」
「まぁ、キミ自身もそろそろ引退を考えるべきだろう。」
そう言っては淡いスグリ色の彼の目はすでにダンブルドアの怪我したであろう手袋をした手を捕らえていた。
「昔の様な反射神経ではないらしいな。」
「まさにその通りじゃ。」
ダンブルドアは落ち着いてそう言いながら、手袋をしたその手をヒラヒラと軽く見せては「確かにワシは昔より遅くなった。しかしまた一方…」と、言うと肩を竦め、年の功はあるものだと言うふうに両手を広げた。
すると傷のついていない左手に、以前は見た事のない指輪が嵌められているのがレンには見えた。
傷ついた金細工と思われるかなり不器用に作られた大ぶりの指輪で真ん中に亀裂の入った黒くどっしりとした石がはめ込んである。
ハリーもスラグホーンも暫く指輪に目を止めたが、スラグホーンは僅かに顔を顰めて禿げ上がった額に一瞬シワが寄るのをレンは見た。
「ところで、ホラス。侵入者除けのこれだけの予防線は…死喰い人の為かね?それともワシの為かね?」
「ワシみたいな哀れなヨレヨレの老いぼれに死喰い人が何の用がある?」
「連中はキミの多大なる才能を、恐喝、拷問、殺人に振り向けさせたいと欲するのではないかのう。連中がまだ勧誘しに来ておらんというのは本当かね?」
スラグホーンは一瞬ダンブルドアを邪悪な目つきで見ながらもそう言う機会を与えなかった。1年間居場所を変え続け同じ場所に1週間以上止まらなかった。マグルの留守宅を転々としていたと呟く。
(P.9/全P.208)
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