第80:突入
「お前は…。」
「久しくその顔を見てはおらんかったな、ブラック。それに貴様は…ルーピンだったか。」
「レンに何をした…!」
「何もしてはおらぬ。元よりこの娘と俺様は切っても切れぬ縁で繋がっている。…そう…それこそ魂の結びつきとでも言うべきか。この娘の中には俺様のあらゆるものが流れ生きている。…ブラックよ。子というのは本当に便利な生き物だな。」
「私にとって子は道具ではないんでね、その様に思った事は過去一度たりとも無い。」
「それは勿体無き事よ。」
「子を、その様にしか思えぬお前の方が勿体無いと思うがね。…お前の居場所は其処には無い。レンを返してもらおうか。」
「それは俺様の台詞と言えよう。元よりこの娘は俺様の娘だからな。俺様を完全に追い出したくば、この子を殺すしかあるまい。さぁ、殺してみよ。…それとも?娘の手によって殺されてみるか?」
そう言いと杖を抜き構えたヴォルデモートだったが、その手は右で彼女の利き手とは違う。
その右手が杖を抜くのと同時に左手が拳を作り掌を上にすると、まるで邪魔はさせないという様に勢い良くその杖がその腕の左腕の印の上に突き刺さった。
2人の父親はそれに顔色を変えるも、ヴォルデモートは驚いた様な表情をした後、狂気じみた声で笑った。
「面白い。まだ俺様に抵抗するか、娘よ。そんなお前に敬意を払い、今のところは退いてやろう。…だが、お前は俺様からは逃れられぬ。お前自ら俺様の元へ直ぐに来る事となろう。覚えておけ。」
そう言うと、サーッという様な音と共に、自分の中から何かが抜けて出て行く様な感覚がしたが、それと同時に力が入らずに崩れ落ちて行く。
だが、それによって痛みを感じる事はなく、自分の大好きな香りと温もり、そして力強い鼓動がレンを包み、力を分けてくれている様だった。
「やっと…追い出せた…成功して、良かった、わ。」
へらっとレンは笑うも、それにシリウスは安堵の息を吐く。
「記憶を見せたら…此処がバレてしまう、から…そっちを、守ったら、入られちゃったの…。」
「無事で…良かった。」
強く抱きしめた後その頬に頬をすり寄せるシリウスに、レンは思わず笑ってしまう。
「シリウス、お髭が痛いわ。異国の料理の大根みたいにすりおろされてしまうかも。」
そう言うと、シリウスだけではなくリーマスもフッと笑い、よく頑張ったね。と、リーマスは髪を撫でてくれ腕の手当てをしてくれた。
(P.5/全P.49)
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