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「引退生活から出てくるのかね?」
「そうだ、そうだ!」
スラグホーンが急き込んで言った。
「バカな事に違いない。しかしそうだ。」
「素晴らしい事じゃ。」
ダンブルドアがにっこりした。
「では、ホラス。9月1日にお会いしましょうぞ。」
「ああ、そう言う事になる。」
スラグホーンが唸った。
3人が庭の小道に出た時スラグホーンの「ダンブルドア、給料は上げてくれるんだろうな!」という声が追いかけてきては、ダンブルドアはクスクス笑い、来た道を引き返していく。
「2人ともようやった。」
「「何もしていません。」」
2人は思わず声を合わせて言ってしまうが、ダンブルドアはホグワーツに戻ればどんなに得る事が多いかを示してくれた。
と、言うダンブルドアだが、2人に対してホラスを気に入ったかね?と一言言うと、ハリーは好きとも嫌いとも言い難い様な表情をしていた。
「私は…あまり。気にいる為の判断材料が少ないので…ですが、シリウスをまるでオークションに出されたコレクションの1つの様な扱いをしたのが、少々嫌でした。まぁ、シリウスなら笑いそうですけど。」
「左様。ホラスは快適さや有名で成功した力のあるものと一緒にいる事が好きなのじゃよ。自分がそういう者達に影響力を与えておるのが楽しいのじゃ。決して自分が王様に着きたいとは望まず、寧ろ後方の席が好みじゃ。ゆったりと体を伸ばせる席がのう。」
ダンブルドアはホグワーツでもお気に入りを自ら選び、時には野心や頭脳により、時には魅力や才能によって、様々な分野でやがて抜き出るであろう者を荒び出す事が出来るという不思議な才能を持っていて、そんなお気に入りを集めては自分を取り巻くクラブの様なものを作った。
そのメンバー間で人を紹介したり有用な人脈を固めたりして、その見返りに常に何かを得ていた。好物の砂糖漬けのパイナップルの箱詰めだとか、小鬼連絡室の次の室長補佐を推薦する機会だとか。と言う。
それはまるで蜘蛛の様だと思ってしまった。
大きな蜘蛛の巣をはり、美味しそうな餌がそこに引っかかっては手繰り寄せる…そんな蜘蛛に。
「ホラスに対して…これからはスラグホーン先生とお呼びしなければならんのう…悪感情を持たせる為だけではなく君達に用心させる為にこう言う事を聞かせたのじゃ。間違いなくあの男はキミ達を蒐集しようとする。キミ達は蒐集物の中の宝石になるじゃろう。」
「私達が例え飾り棚に飾られようとも、それに流される事はありません。ハリーはそんな人間ではないですし、私も興味ありません。…と言うよりも、少し学校に戻るのが億劫になってきました。」
レンのその言葉にダンブルドアはほっほっほっと笑った。
「さて、この辺りで良いじゃろう。」
そう言うとさっき通った教会の所まで戻ってきては足を止めた。
「ハリーの事はこのままワシが隠れ穴に送ろう。」
「よろしくお願いします。…それでは私は此処で。ダンブルドア先生。楽しいお散歩のお誘い、有難うございました。またホグワーツで。ハリー、皆によろしくね。楽しんできて。」
「うん。それじゃ、また日曜の夜に。」
レンは2人と別れを済ませると姿をくらまし家に帰ると、其処には心配そうにシリウスが待っていた。
「随分と遅かったな。」
「えぇ。ホラス・スラグホーンに会ってきたのよ。」
「あぁ…次の教師はスラグホーンになったのか。」
「そうみたい。」
「お前は必ず奴の飾り棚に飾られるだろうな。」
「ブラック家は一揃い欲しかったのに残念だった。って言ってたわよ?」
シリウスはその言葉に吠える様に笑っては「私は飾り棚で大人しくしているタイプではない。」とニヤリと笑っていた。


(P.13/全P.208)
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