そしてナルシッサが警告した通り、深夜に急に辺りが凍え始めた。
この感覚は…吸魂鬼だ。
そして蠢くこの子達も、動物と認識されたのだろう…森からゆっくりと力なく歩いて来る者達にレンは苦笑してしまう。
そう、亡くなった者の体…亡者だ。
「「エクスペクト・パトローナム!」」
レンとハリーが杖を振るうと銀色に光る大きな犬と雄鹿が姿を現し「時間稼ぎをお願い!」とレンが言えば、2匹は吸魂鬼達を追い払い始める。
「アレは…何?」
「亡者よ。取り敢えず燃やして対処して。」
「わかった!」
入って来てしまっては結界も意味がない、入れない結界に貼り直さねば。と、境界線迄の結界を一度解けば、レンは亡者達に火を放ちその侵入を拒む。
亡者は庭で焼け朽ちる様に崩れていったが、レンはその中の一体に瞳を大きくした。
「母、さん…?」
あの夢の中で会ったそのままの姿によく似た亡者が此方へふらふらと歩いてくるのだ。
「母さん!母さん…!」
レンは火を放つのを止め、慌ててその亡者へと駆け寄るが、邪魔する者は遠慮なく燃やしそしてその亡者へ手を伸ばす。
…だが近付いて直ぐに判った。似ているだけで違うのだと。
亡者がレンを羽交い締めにしようとし「レン!」とハリーの声が響くのと同時に、レンは悲しそうな表情をしそれを焼き払った。
本当にヴォルデモートは趣味の悪い事をしてくれる…。
「大丈夫よ。…母に似ていたから…油断したみたい。」
レンはそのままハリーに亡者を焼き払い時間を稼いでもらっている間に、境界線までのエリアを何人たりとも許可した者とその者の同行者、配達の鳥以外は入る事のできぬ結界を張り直せばふぅっと息を吐く。
そして森全体には森に住まう者達を含め森を荒らしたり傷つけたりしない者と当主の意志に反する事のない者以外は入る事のできぬ結界を森全体に広がる様にかけて生き、徐々に広がっていくその結界に触れた亡者は次々と砂と化し、吸魂鬼は結界に体当たりをし続けていた。
「…有難う。お疲れ様。」
レンがそう声をかけるとハリーは一息吐き、2人の守護霊の魔法はすーっと消えていった。
若い2人の父親と母に逢った一件から始めて血の力を使ったが、魔法の火力も含め、こんなにも早く元通りに出来るとは思わなかった…。
新しい杖のお陰か、それとも…。と、レンは思うと腕の印をそっと撫でる。
お母さんが手を貸してくれたのかもしれない。あのおまじないというやつの…。
レンはそう思うと心が暖かいもので満たされていくような気がした。
(P.25/全P.208)
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