だが“蜂蜜酒”と言うからには、飲みすぎて酔っ払ってもいけないと思い、レンはグラスを両手で持ったまま、辺りを見渡す。
ハリーは「何これ美味しい。」と言いたげな表情をしていたが、ダーズリー一家は受け取ってもらえないグラスが自分に気付かせようと一生懸命に頭を突いており、レンは苦笑するしかなかった。
「ダドリー、心配しなくても毒なんて入っていないし、美味しいわよ?」
レンはそう言い、ダドリーは頭を突くグラスを受け取ろうとするも、まるで頭がおかしくなるから辞めなさいと言うが如く両親がその手を妨害する。
そういえば一昨年、アーサーがハリーを迎えに行くと言っていたが、あの時に何かあったのだろうか…?
「さて、ハリー。面倒な事が起きてのう。キミ達が、我々の為にそれを解決してくれることを望んでおるのじゃ。我々というのは、不死鳥の騎士団の事じゃが。しかしまずキミに話さねばならん事がある。シリウスの遺言が1週間前に見つかってのう。ある所有物をキミに残したのじゃ。」
「あ、はい。…あの、レンにもちゃんと…?」
「勿論じゃ。レンにはあの屋敷にあるシリウスの私物の全てを遺しておった。ハリーとレンの共有の物としてあるものを、そしてハリー個人にある厄介な遺産があってのう。」
「名付け親が死んだと?」
バーノンがソファから大声で聞いた。
「バーノン叔父さん。…あの、シリウスは…レンの父親でもあるんだ。だから…。」
俯いたレンをちらりと見ながらハリーは「もう少し気を遣ってくれ。」と言いたげに言うが、バーノンは相当しつこく頭を横からぶっていたグラスを払い退けようとし、聞いてはおらず、ただダドリーだけが驚いた様に瞳を丸くしていた。
「死んだ?コイツの名付け親が?」
「そうじゃ。」
ダンブルドアは、なぜダーズリー一家に打ち明けなかったのかとはハリーに言いはせず、邪魔が入らなかったと言うかの様に話を続ける。
「ハリー、シリウスがグリモールド・プレイス12番地をキミに遺したのじゃ。」
「屋敷を相続しただと?」
バーノンが小さい目を細くして意地汚く言ったが、誰も何も答えなかった。
「ずっと本部として使っていて良いです。僕はどうでも良いんです。あげます。本当に要らないんだ。…本当はレンが受け取るべき物だとも思うけど、きっと僕達は同じ思いだと思うから…。」
ハリーの表情が陰った事を察するに、ハリーは2度とあそこに足を踏み入れたくないと考えているんだろう。