「たいした事はないんだけどね…。…キミが来てくれるとは思ってなかったから驚いた。」
レンはそれに安心した様に息を吐けば、ドラコは意地悪っぽく笑う。
「僕に対して覚悟を決めるんじゃなかったのか?」
「それは貴方が私を攻撃するなら、よ。…まだ、殺されてあげる訳にはいかないの。」
「僕はレンを殺したりはしない。」
「あの人にそう言われるかもしれないわよ?」
「そしたら死んだって噂を流して知られない場所に監禁するね。」
「私はずっと監禁生活?」
「あぁ。ほとぼりが冷めるまで、ずっとな。」
「…子供の頃に戻ったみたいになるわね。」
レンがベッドの側の椅子に座り溜息を吐けば、ドラコはそんなレンをじっと見つめている。
「…まだ、体の調子が悪いのか?」
「いいえ。それは大丈夫よ。」
「元気がない。…僕の事を怒っているのか?」
「怒っていたりしたら此処に来ないわよ。違うの…最近ずっとこうなのよ。ちょっと気になる事があって。」
そう…あの翻訳を頼まれた本。…あれに載っているある魔法についての記述…それが自分の現状によく似ているのだ。
それ即ち…と、先の事を想像してしまえば、思わず溜息が漏れてしまった。
「気になる事?」
「えぇ。魔法の事だったり…後はドラコも他の周りの人も皆大人になっていくから…私だけ時の流れから取り残されたみたいな気がしたり、ね。」
「僕が子供だって言った事、まだ気にしてたのか。」
ドラコは小さく苦笑し、取り敢えず此処に座れよとベッド空いているスペースを叩けば、レンは素直に其処に座ってしまう。
するとドラコはレンを抱き締めその首元に顔を埋め、レンはそれに小さく笑えば背中を軽く叩くように撫でた。
「ドラコも元気がないみたい。って病欠でクィディッチ欠場するくらいだから当たり前ね。」
「…ったくキミは…。僕が何度忠告しても判らないんだな。」
「なんの話よ。」
「僕は男でキミは女だ。力では敵わないし、キミは甘い。僕や仲間を攻撃する事は出来ないだろう?なら自分で警戒して身を守るしかないんだ。こんなに僕に近付いて、また薬でも飲まされたらどうするつもりだ?」
「あぁ、その事。ドラコはもうそんな事しないわ。」
「判らない。此処でレンに惚れ薬を飲ませて僕のものにする事だって出来る。」
「出来ないわね。貴方がそんな薬に頼る意気地無しだなんて思ってないもの。」
それにドラコは大きく溜息を吐いた。これ以上言っても無駄だと思ったのかもしれない。