夜になるとリーマスが訪ねて来て、その姿を見るや否やレンはその胸に飛び込み「やつれたみたい。」と心配するレンを優しく撫でてくれた。
皆で用意した食事も食べ終わると、大きな木製のラジオからモリーが贔屓している歌手、セレスティナ・ワーペックのわななく様な歌声が流れていた。
随分と大きな音で流れているのに、聞こえない様に暖炉の側に座ってじっと炎を見つめているリーマスがレンはほっとけなくなりその隣に腰掛けた。
ハーマイオニーがロンの事で思い悩んでいる様な、そんなような時と同じ顔をしていた。
「リーマスは、私と似ているところがあるわよね。」
その言葉にレンが隣にいたことに今気付いたのだろう、リーマスは優しく微笑み首を傾げる。
「ハーマイオニーに言われたのだけれど、私は私の血は呪われているから…って、色々な事にセーブをかけてしまうらしいの。リーマスは、私が思うに、ちょっとだけ人と違う事を引け目に感じて、一歩引いてしまう。…同じね。」
「どうしたんだい?急に。」
「…そんな事を考えている様に思えたから。…リーマス…時にはね心の赴くままでも良いと思うの。リーマスは私とは違うのだもの。自分が一番欲しいものを手にしたって許されるのよ?考えても迷うのなら心の声に耳を傾けてそれで動けばいいの。幸せになる事から逃げないでね?私、リーマスには心の底から笑っていて欲しい。それ以外にも任務で心も体もきっと疲れているでしょうし、体も大切にしてね。」
レンの言葉にリーマスは瞳を丸くし、驚きの表情を隠せずにいれば「参ったな。」と苦笑して俯き加減に頭を掻いた。
「キミは、本当に人の事を良く見ているね。それだから、些細な情報を繋ぎ合わせて真実に辿り着いてしまうんだろう。…一昨々年も、一昨年も、去年も…年々それが鋭くなってきている様に思えるよ。」
「あら、鈍感で有名の私よ?ここ数年何度、鈍いやら子供やら言われて貶され続けた事か。」
レンは眉を顰めて深く溜息を吐くとリーマスは笑ってしまう。
「自分へ向けられる感情は専門外みたいだね。…それにしてもアクアがそこにいる様だった。」
「スラグホーン先生に、初対面でアクアがどうしてここに!って言われたわ。」
「髪色がアクアに近付いたから、余計にだろうね。」
リーマスが優しく目を細めてレンを見つめては髪を撫でてくれ、レンは甘える様にリーマスの脚の間に座り、その胸を背凭れ代わりにすれば、ニッと悪戯っぽく笑う。
リーマスはそんなレンを優しく抱きしめてくれていた。