「いってらっしゃい。頑張ってこいよ。」
ジョージはそれを相変わらず可愛いなとニヤリと笑いながら言えばレンは直ぐにそれを止め、二人に微笑み手を振ってから、荷物を置いたコンパートメントへと戻った。
生徒達が家族と別れを惜しんでいる間、レンは荷物から本を取り出せばそれを読み始めていた。
「クレスメント。1人かい?」
そう知らない学生に声をかけられレンは小さく首を傾げる。
「良かったら俺達のコンパートメントに来ないか?」
「ごめんなさい。友を待っているの。」
そういう訳ではないのだが、レンは適当にそう答えるとその男子は、また今度な。と言い帰って行く。
そういうのが何回か続きレンは小さく息を吐いた。
魔法省で起こった出来事は日刊預言者新聞に書かれていた。
もちろんハリーやレン、ロン、ハーマイオニー、ジニー、ネビル、ルーナが乗り込んだあの事も、だ。
その所為か、やたらと知らない人に声をかけられる回数が増えてレンは小さく息を吐く。
「レン、一緒しても良いかい?」
その言葉にうんざりした様に顔を上げれば、声の主がネビルとルーナを連れたハリーだと判るとほっと息を吐いた。
「勿論よ。貴方が来るのを待っていたんだから。」
「でも一瞬断ろうとしただろう?」
ハリーは可笑しそうにそう笑うと、レンは苦笑してしまう。
「一緒に来ないかとか一緒に良いかとか、なんか煩かったの。咄嗟的にまたその人かなって思って…ハリーで安心したわ。」
「僕もレンがいて安心した。なんかジニー達と一緒に居続けてたのが慣れちゃってて…」
そういうハリーにレンは小さく苦笑してしまい「ジニーじゃなくて私で良かったの?」と言えばハリーも苦笑してしまった。
レンもハリーもちくんと胸が痛んだがお互いにあまり気にしない事にした様だった。
「ネビル、お祖母さんとどうだった?」
「うん、ばあちゃんが怒ると思ってたんだけど、喜んでくれてた。僕がやっと父さんに恥じない魔法使いになり始めたって。新しい杖を買ってくれたよ。」
ネビルは魔法省での戦いで杖を折ってしまい、ばあちゃんに殺される。と落ち込んでいたのだ。
それを、見て!とレンにその杖を出してくれ、レンはその杖を手に取れば小さく笑んで見せた。
「うん。良い杖ね。それに良い香りがする…花をつける木が使われているの?」
「キミは本当に鼻が良いんだね。桜の木にユニコーンの毛なんだ。」
「ふふ。良い杖に選ばれたわね。ネビルが信頼してあげれば、その杖も応えてネビルの力になってくれると思うわよ。」
「うん、オリバンダーも言ってた。オリバンダーが売った最後の一本だったかも…僕が買った次の日にいなくなってしまったから…。」
ネビルはそう言うとまたしても自由への逃走を企てたヒキガエルを捕まえようと座席の下に潜り込んだ。