「母の本にこの花が載っていました。愛の花と呼ばれているって。」
「そういえばアクアは花言葉が好きじゃったのう。実に素晴らしい花じゃ。」
レンはちらりとバーノンを見やるが、こめかみをピクピクとさせているあたり、魔法が嫌いな彼が、魔法使いそのもののダンブルドアの姿に沸騰点に達しようとしているのだろうとレンは思ったが、ダンブルドアのこの独特な空気が、バーノンを抑え込んでいるのかもしれない。
「レン…!」
ハリーの声がし顔をあげれば、ハリーは階段の所にいた。
慌てておりてきたようで、片手には真鍮の望遠鏡を持ち、もう片手にはスニーカーを1足ぶら下げたままで、レンは口元だけで笑んで答え「こんばんは。」と声をかけるとダンブルドアも大満足の表情で半月のメガネの上からハリーを見上げ「ああ、ハリー。こんばんは。」と声をかける。
「上々、上々。」
「失礼になったら申し訳ないが…。」
ダンブルドアの言葉で奮い立ったかの様にバーノンがそう切り出しすと、ダンブルドアは其方に視線を向ける。
「しかし悲しいかな、意図せざる失礼が驚くほど多いものじゃ。」
ダンブルドアは重々しく文章を完結させた。
「なれば、何も言わぬが1番じゃ。ああ、これはペチュニアとお見受けする。」
キッチンのドアが開いて、そこにはゴム手袋をはめ、寝間着の上に部屋着を羽織ったペチュニアが立っていた。
どうやら寝る前にキッチンで何かをしていた様だったが、その表情はショック以外の何も読み取れない。
「お手紙をやり取り致しましたのう。」
あのあれを思い出せという手紙の事を言うには少々不自然さの残る発言にレンは首を傾げたが、ダンブルドアは今はその話をする時ではないと言いたげの様子に、レンは口を挟むのを止めるとダドリーが縞のパジャマを着た姿で姿を現し、レンの姿にその頬を真っ赤に染めた。
「ダドリー、こんばんは。」
「こ、こんばんは。」
「こんな時間にごめんなさいね。この人は、アルバス・ダンブルドア。私達の学校の校長先生で偉大なお人なの。」
バーノンが紹介する気配もないので、レンがそう紹介をするとペチュニアはビクッと身を震わせ声を一言も漏らさない。
ダドリーは誰かが何かを言うのかと家族を見渡すが、何も言わなそうな雰囲気にレンの目の前でもあり気を遣ったのかぺこりと頭を下げては小さく微笑んで見せてくれた。
「ワシらが居間に招き入れられた事にしましょうかの?」
ダンブルドアがそう言うとバッと道が開き、レンは進むダンブルドアの後をついて歩き、ハリーも階段の最後の数段を一気に飛び降りると、レンの後をついて歩いた。