俺はここで、女子寮も男子寮とあまり変らない構造になってる事を初めて知った。
普段女子寮に入ろうとすれば、その会談は滑り台のようになってしまい、その者を追い出してしまう。
なので男達にとっては未知の領域なのだ。
一人一人のベッドにそれを囲む様にカーテンもある。
俺はレンのベッドなのだろう、彼女の優しい香りのするベッドに置かれては、レンは暫く何処かに姿を消し、少しすれば少し濡れた髪で戻ってきた。
シャワーでも浴びてきてたのだろう、とても良い香りがしたし、この場でもとの姿に戻ったら最悪だろうなと俺は思ってしまった。
その後他のルームメイトも寝室にレンと同じ状態で戻ってくる。
レンを除く女子達は会話に花を咲かせていたが、レンはそれに混じる事は無かった。
「レンは?」って声をかけられれば、一応は話を聞いてるらしくてソレに合う返事はしていたけど。
ベッドに潜り一緒にベッドの上で横になっていた俺の頭を撫でる事の方が良いらしい。
結局話が終わりグレンジャーが「今度は皆とお話しましょう?」と話を振るが、あまりその気も無い様で適当に笑って誤魔化していた。
読書家なのか、と最初は思ったが考えてみればそれは正解とは限らなかった。
だって、少なくとも俺やフレッドと一緒にいる時に本に視線を落としたまま話を聞いていた事はない。
多分俺達みたいにぐいぐいと関わってくる様な悪く言えば"彼女のペースを乱す"相手以外には、こうして一線引いてあまり深く関わらない様にしている…そんな風に見えてしまった。
ベッド周りのカーテンを引くと彼女は少しの明かりで本の続きを読み、次第に眠くなればそのまま眠りに落ちていく。
俺もそれを見届けると、深い眠りについた。
暖かくてよい香りに包まれて眠るのは、とても心地良かった。
「…で…ッ……がぃ…」
小さく苦しそうな声が聞こえ、俺はうっすらと瞳を開く。
様子を見ようと布団から顔を出せば、レンは魘されて額には冷たい汗が滲んでいた。
よく聞き取ろうとすれば「殺さないで。やめて」と呟いているようだった。
なにか辛い記憶の夢でも見ているのだろう、俺は頬を優しく撫でてやればレンがゆっくりと目を開いた。
「…ッ…あ…ごめんなさい。起こしちゃった?」
「みー」
レンは一瞬ハッとした表情をするが、直ぐ側に俺を発見すれば少し悲しそうな笑みを浮かべ俺の頭を撫でる。
それからまた眠りにつけば、俺は朝まで眼を覚ます事はなかった。