第27話
「その子は目を覚ましたりしない…」
物静かな声がした。
その声は自分のものでもないし、ハリーのものでもないようだった。
術を施したまま、レンはハリーの後方をみると、そこには背の高い黒髪の少年がすぐ側の柱にもたれてこちらを見ていた。
「トム…トム・リドル?」
リドルは、ハリーの顔から目を離さず頷いた。
「目を覚まさないってどう言うこと…?まさか…」
「その子はまだ生きてる。…しかし、かろうじてだ。そうして力を分けていても、助かりはしない」
リドルはチラリとレンの方を見ると、そう呟いてみせる。
「貴方は50年前の人物のはずよ…なのに何故…」
「キミはゴーストなの?」
ハリーがレンに続くようにそう言うと、リドルは「記憶だよ。日記の中に50年間残されていた記憶だ」と静かに言い、2人に近づくと、ハリーの杖を取り指に絡めながらその場に立つと、もう一方の手でレンの後方を指差した。
そこには先程レンが取り上げ、そして操られたジニーに奪われたその日記が転がっていた。
「ハリー…駄目よ…それから離れて…彼が…」
「キミは本当に良く出来た子だ…クレスメントの血が…そうさせるのかい?」
リドルはレンの言葉を遮りニッコリと笑ったが、その瞳は自分の父を思い起こさせるほど冷たかった。
「さぁ、此処を出なきゃ…バジリスクがもし来たら…杖も返してくれるかい?」
ハリーはまだ気付いていないようだった。
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