第29話
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レンはそのままハリーの方へと歩きながら崩れるようにハリーの体を抱き締めると、その体はとても冷たかった。
ハリーの体なのか自分の体なのか判らないが、体が小さく震えているのが判る。
「ハリー・ポッター…僕は此処に座ってキミの臨終を見物させてもらおう。ゆっくりやってくれ。僕は、急ぎはしない」
「ハリー…しっかりして。お願い…死なないで…」
「レン…ごめん」
ハリーは弱々しくそう言い苦笑を浮かべていた…。
そんな言葉、ハリーから聞きたくはない…信じたくない…クレスメントの力よ…お願いハリーを助けて…
レンはそう強く願うと、彼女の体が淡く光り、ハリーを包み込み、不死鳥はハリーの為に涙を零し、その涙はバジリスクが貫いた傷口へとポタポタと零れていく。
「止めた方が良い。そんな事をしても既に手遅れさ」
リドルはその発光が何の意味を持つか知っているらしく、嘲笑うかのようにそう呟いたがレンは聞いてもいなかった。
「貴方に逝かれてしまったら…私はどうしたら良いかわからない。貴方を守れない力なんて私は要らない」
レンはそう呟くと、ふと違和感に気付いた。
先程まで冷たかったハリーの体が、段々と暖かくなってきている。
「たった一人、秘密の部屋で友人にも見捨てられ…愚かにも挑戦した闇の王に、ついに敗北してお前は死ぬんだ。もう直ぐ穢れた血の恋しい母親の元に戻れるよハリー。…キミの母親は、キミの命を十二年ほど延ばしただけだった」
リドルは嬉しそうにそう語っていたが、レンは抱き締めていた手を緩め、少しだけ体を放すと発光も治まり、泣きじゃくった顔のままゆっくりとハリーの顔を覗き込んだ。
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