第29話
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先程まで虚ろだった表情がはっきりとしていた。
ハリーはレンと視線を合わせると、自分の傷口へと視線を落としたのでレンもそこを見る。
すると、バジリスクが貫いた腕の傷が当たった場所には、真珠のような涙で覆われており、あるはずの傷口がそこには無かった。
「退け!そいつから離れろ!聞こえないのかっ!」
リドルはハリーの杖を不死鳥の方へと向けており、レンはそれを盾になるように抱き庇うと、リドルの怒った様な声が響き渡る。
不死鳥はその場から飛び立ちバンッと大きな音がすると、レンの膝の直ぐ側が火花を散った。
「退かないわ。何があってもここは退かない」
レンはそう呟き、ハリーはそっとレンのローブの中の体に手を伸ばしていた。
「不死鳥の涙…クレスメントの力より強力な癒しの力があったのを忘れていた…だが、結果は同じだ。クレスメント、退かぬならまずお前から仕留める。心配するな。直ぐにハリー・ポッターを送ってやろう」
リドルは杖を振り上げたのだろうとレンは思いそのままぎゅっと瞳をきつく閉じる。
すると、腰の辺りからスッと何かが抜き取られるような感覚がすると同時にハリーがレンを優しく離れるように促した。
レンは位置を変えずにゆっくりと抱きしめているその腕の力を緩める。
「大丈夫。そんな気がするんだ。」
ハリーはレンにのみに聞こえるよう呟くと、レンは退き、ハリーの隣に座り込む。
先程抜き取られたような感覚がしたのは、レンがしまっていた日記をハリーが抜き取った感覚だった。
それを地に置き、もう片手にはバジリスクの牙を掴んでいる。
リドルはそれを一瞬みていたが、次の瞬間慌ててそれを止めに入ったがその時は遅かった。
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