第1話
「ごめんごめん。」
「もう、しらない」
怒ったフリをすればリーマスは後ろから抱き締めてくれ、優しく髪を撫でる。
本気でそう思ってなさそうな優しい声色で「怒ったかい?」と聞かれてしまえば、レンは首を横に振るしかなかった。
抱きしめてくれる温もり、髪を撫でる優しい手…。
今まで求めても手に入れられない家族の温もりが、例え一時的であろうと今此処にはある気がし、嬉しい反面どこか擽ったい。
「リーマス…あの…一つだけ聞きたい事があったの。」
抱き締めてくれている手に自分の手を添えて俯いたままそう言うとリーマスは不思議そうにしているのが判る。
「私で答えられる事ならいくつでも構わないよ」
「どうして私なんかにお手紙を送ろうと思ってくれたの?」
そう、ルシウスやダンブルドア、そして屋敷しもべのシャルが先生に読み書きを覚えた頃だった。
差出人がRJLとしか書かれていない手紙がレンの元に初めて届いた。
初めましての挨拶と、自分はレンの母の同級生で友達だった者でレンが一人暮らしをし親戚と上手くいっていない事を風の噂で知り心配し元気付けてくれる内容が書かれていた。
レンは最初の頃、この人を疑って返事をしなかったし、何故かその事を誰にも相談できなかった。
「そうだね、本当はね…レンのお母さんが亡くなった時に私が引き取ろうと思ったんだ。」
レンは驚きリーマスの方を向く。
「けれど私にも色々事情があって、それが叶わなかった。ご親戚の方が大事に育ててくれると信じていた。けれどそうじゃないっていう事が判ってね。今更顔を出しても受け入れてもらえる自信がなかったんだ。それでも放っておけない気持ちや、沢山の事を詫びたい気持ちがあった。だから少しずつ手紙という形ででも私を知ってもらい信用してもらおう、そう思ったんだよ。キミを心配する気にかける人物が少なくてもここには居る。その事実だけでもレンの支えになってあげられたら…ただの自己満足だったのかもしれないけれどね。」
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