第5話
シャルは屋敷しもべ。一般的にご主人様に意見するなど許される事ではない。
だが、レンにとっては育て親も同然なのだ。
その”親”でもある自分にとって初めての友が痛めつけられる所は見ていられない。
シャルは更に涙を零しレンを心配していたが、レンはシャルに向かって「大丈夫」と小さく答え笑みを浮かべた。
「シャル、貴様はそんなにその娘が良いのなら”洋服”をくれてやる。私の家から出て行け!!」
そう言い、用意していたのだろう、靴下を一組シャルに投げつけた。
「ご主人様!そればかりは!お許し下さい、ご主人様!!」
シャルは更にキーキーと声を上げ泣き始めるがそれを聞きもせず、ルーイはレンを見ては話を続けた。
「貴様も、私が教えた”道”を生きていけば良いのだ。」
ルーイが教える道。
それは純血として恥じない行動、ルシウスの手足となり、そして目立たずひっそりと生きていく事だった。
レンは何も言わずに俯くと最後に鞭で何度か叩くと「フンッ」と不機嫌そうに姿くらましした。
シャルはそれを最後まで「お許し下さい」と叫んでいたがその声は届かなかった。
「シャル…ごめんなさい。貴方にまで飛び火してしまって…」
シャルは「とんでもございません」と涙で詰まらせながら答えたが、レンはそっとハンカチを取り出しシャルの涙を拭う。
「もし、シャルが望めばだけど…此処に居てくれないかな?…シャルは私にとって大切な家族だから…シャルが居なくなってしまったら、困ってしまうわ」
レンがそう言うと、シャルは更に涙をこぼす。
「お嬢様はお優しいお方でございます。」
「シャルの方が優しいのよ。一般的には人の前に姿を現す事は良い屋敷しもべだといわない、と気にしているのに…私が寂しくない様に側に居てくれた。また一緒に食事をしたり、お茶をしたり、お話したりして欲しいの」
レンがそう言うとシャルはコクコクと何度も頷きながら泣き続ける。
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